二次なりきり掲示板

Re: 【中文】四つの国と妖怪達【募集中】 ( No.30 )
日時: 2016/07/28 13:10
名前: 双葉 (ID: y5Clm6mh)
参照: ギスギスパート楽しい

>>24

【九 清仁/東の国】

 やはり立ち去ろうか。踵を返そうとしたその時、視線の先の人物もまたくるりと此方を向いたので後ろに踏み込んだ片足はそのまま静止した。そのままぽかんとしていると相手の方から此方に近寄ってきて手間が省けたなと胸を撫で下ろした。しかし彼女の表情は硬くやや引き攣っているようにも見える。さてどうしたものかと困った風に眉根を寄せるが、それすらも彼女には恐ろしい大男が不機嫌な顔になったようにしか見えないのだと思うと久しぶりにこの働かない表情筋が不便に感じる。……いや、表情筋だけの問題ではないのか。
 綺麗に一礼した玖妖に遅れて自分も「あ、どうも」と会釈を返す。その後に続く言葉を探すが、何分表情のレパートリーもなければ世間話のストックもないので二人の間に暫し静寂が流れる。何となく居心地が悪くなって視線を何気なく空へ移すと今まで晴れていた空に灰色の雲がぽつぽつと現れていて、その一つが太陽の光を遮った。我が国が誇る優秀な占い師が言うには、今日の天気は雲一つない晴天だったはずなのだが。
 それから空と玖妖とを何度か交互に見るとようやく口を開いた。

「あの、俺の事がお気に召しませんか。俺、貴方に何かした覚えはないんですけど、何かご不満な点があるなら改善しますが」

 相手が覆い隠そうとしているだろう事案に前置きもなく直球に投げかけた。言いにくさ等感じていない様子で、ただ無表情のまま少し首を傾げて疑問を解消すべく動いた彼に微塵も悪意はない。あるとするならそれは主の命を忠実に遂行しようという意志だけだ。他国との交流、そして今は自国の客人を長の側近としてもてなすため。その為にこの疑念は取り払わねばならないと判断したにすぎない。