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【小毬】

「この子で最後、だね」
かちり、と小さな鳥かごに鍵をかけた。
今日一緒にショーに出てくれたのは、虎さんが二匹、猿さんが三匹、鳥さんが二匹。お疲れ様、ありがとう、と声をかければそれに応えるようにそれぞれが鳴く。どの子も素直ないい子ばっかりだ。
ふと疑問が沸く。いい子を檻に閉じ込めるのはいいことなのだろうか。……また先生に聞かなきゃ。

動物用テントを出ると遠くの道に小さく、団長のアネルが見えた。機嫌よさそー、と思いながら特に理由もなくアネルの元へと走る。

「どーしたの？なんかとってもご機嫌だねっ！」
なかなか長い距離を走ったはずなのに息を乱さず、いつも通り話しかけた。こてん、と首をかしげれば、みつあみの先についた鈴がりん、と音をたてる。いつも鳴ってるから、静かにしてほしーな、と思うときもあるけれど、大切なものは大事に持っておかなきゃダメなのだ。