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【ルカ=リリィ】

聞こえなかったのだろうか。そう思い眉を寄せていれば、聞こえてきた声に少し胸をなで下ろす。間があったのは答えるかどうかを迷っていたからかもしれない、そう思いながらも近づこうとしたが、その聞こえた言葉がどこか冷たく偉そうだったため近づくのをやめる。

「...ルカ、ルカ=リリィだよ。...おにーさんは？」

こういう性格は嫌いではない。強がっていたりする人ほど歪む顔は見ごたえがあるし、冷たい人ほど悔しさで染まる顔はゾクゾク来るものがある。言ってしまえば自分の性癖を満たしてくれる人であれば、どれだけの悪人であろうとも構いはしないのだ。生意気なほど自分色に染める楽しみもあるし、賢いほど自分を楽しませてくれるから。

止めていた歩みを再開し、顔が見えるぐらいまで近づく。声を聞いた段階で予想はしていたがやはり男だった、それもSランクの超有名人。...やはり、自分の兄よりも強かったりするのであろうか。

「こんばんは。それともおはようの方がいいのかな...生意気なおにーさん？」