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>>28

【ルカ=リリィ】

「それがルカだからね。おにーさん、イライラしてたら寿命縮むよ？」

振り向き、深呼吸をするアーロンに向かってそう言えば小首を傾げる。そのままイラついていればいいものを、静めるなんてもったいない事をする。最近の人間もそうだが、自分の感情を隠して何になるというのだろうか。そういう事をするからストレスで死んだりしてしまうのだ。

猫のぬいぐるみを顔の前にやって動かしながら、「キミは灯凪くんのお友達かな？」と裏声を出して言ってみる。「ルカ=リリィ」としてそれを聞くのには抵抗があるのだ、恥ずかしいしブラコンだと思われたくはない。

「(何してるんだろ、ルカ)」

子供騙しのようなこの行動は、果たして目の前の男にはどんな風に映っているのか。考えるだけで悪いようにしか思えなくなるため、無理やり思考を中断させて体ごとアーロンの方へと向けた。もちろん顔の前にはぬいぐるみ、こちらの表情は彼からは見えないはずだ。

生きている年月に比べて身体は小さく、趣味嗜好は異常。「サディスト」と「マゾヒスト」の両方を持つ自分は一体全体何なのだろうか。吸血鬼以外で教えて欲しいものである、子供か大人かさえ自分では判断がつかない。 アーロンの返答を待ちつつ、そんなことを考える時点でルカは子供ではないはずである。