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>>271

【齋熾 悠人/城下町近くの原っぱ】

「こちとら、興味ないやつのことなんて一切覚えないご都合主義なもんでね。悪いね、御嬢さん。一切記憶に無いんだ。嘘つけ、覚えてないくせに。その胡散臭い笑顔を信じれば良いとでも？」

その場にしゃがみこみ、視線を合わせて話しかけてくる彼女に尚も怪訝な表情を浮かべたまま口を開く。コロコロと表情を変える彼女を胡散臭いと心のなかで思えば、思ってることをオブラートに包むことなく言って述べた。少々、彼女の顔が歪む姿を見てみたいと思った自分はおかしいだろうか。

「あ、あ。敵と言われた方が印象は強いかもね。てか、しくったわ。お前が敵だと分かってたらそんなべらべら情報を流すような真似しなかったのに。」

彼女の口から「ロザリア」と言う名前が出たとたん顔色が変わるが、その事を相手に悟られたく無いのか直ぐに顔を戻しぐっと唇を噛み締める。何故お前がその名前を知っているんだ、と言う思いも含めて相手を睨み付ければ「ロザリアって、誰の事？」ととぼけてみせた。