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>>56
ぷーちぃ様
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トーエは苛々しているのか、やけに口調が刺々しく思えた

確かに当事者はトーエだ、せやけど被害者でもあるしな..心臓あらへんし
とため息をつかれた事、口調が刺々しい事はトーエの顔を見なくても分かる事だった

..心臓がないと帰せない、ただトーエが帰る事を今のところ望んでいない..こんな所に居ちゃ駄目や

と思いながら、言葉を口にし、明らかに不機嫌そうな顔のトーエを見て返事を待つが
爆弾発言だった、いや..あまりにも衝撃的な発言だったらしく口を半開きに開けたまま、
トーエの表情は豆鉄砲を食らった鳩のように唖然していた

..そりゃそうなるわな
と発言者の当人は何処か他人事のような面持ちで
そんな事を思いながら、さっきとは違い今度はただじっとそんなトーエを見ていると

考えるのを、理解するのを諦めたらしく..いや、理解出来ていない様子で
『　ちょ、え、ジャック！　心臓がないってそれは、心奪われたとかいう比喩表現でもなんでもなく、マジな方でないってこと、なの？　』
と普段のトーエとはまた違うある意味レアなトーエはこれまた混乱しているためか何とも乙女チックな例えと
悲しいのか、それとも心臓がどうしてないのか..とか詳しく言わず結果のみ言ったからかトーエの表情、口からは乾いた笑みのみだった

がどうしてくれるんだと訴えているような、すがるような目線を目にし

だから言いたくなかったんやと内心思いながら、まずはさっきの言葉に分かりやすくゆっくり、２回頷き

ジャック「..　..」
とそんな視線に言うか言わないか悩むように
何か言葉を発する前に口を閉じてはまた開きを繰り返したのち

「　..この名もない国に入るとな、心臓が自然に別の所に行くんねん、最も近く最も遠い場所に心臓だけ..命だけ別の所に移され管理される仕組みになっとんねん..」
と心臓、最も近く最も遠い場所、仕組みを強調して簡単に説明する
つまり、名もない国に来た時点で心臓がない..状態だと言っているのだ

..他の住人たちの心臓を管理しているのは自分だけどな
..トーエの心臓は..俺が持っている訳じゃないしとトーエの様子を窺いながら思い

「此処まで聞いて....トーエの君は理解出来た、か？」
とまだ混乱してそうなトーエにちゃんと理解しているか確認する声は何処となく宥めるような口調だった

....何もやらなくてええ、何もしなくてええんや
..嗚呼、けど心臓ないまま..現空世界に帰すと..残酷だしな..それだけはしたくはないし

..このままこの名もない国に居るのは..何かとあれやし..もうどないしたらええ

ーーーーー..物語、進めるしかないんか？このままじゃあかんのか..トーエ..

と心臓を戻すにしろ、帰すにしろ..この名もない国に止まるにしても..進めるしかない..

このまま家に居れば、ガラクタにも、クラウスの案内も全て阻止する事もやろうとすれば出来るが

俺は帰したい..帰したいんや
と物語を進めたくはないが帰すためには進めるしかない..
と分かってくれとは言わないがトーエに今まで言わなかったのは..このまま家に居てほしい、今のままで居てほしいと心臓云々が無ければ俺はとっくにトーエを帰していたとそう思っていた