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桜花「卑下したつもりはありません、…実際片脚欠けてしまいましたし」

右脚を一瞥してからフェンリルに視線を戻す。
傷物、と言ったのはたしかに脚の事だけではない。権力争いは組織となれば起こるもので、長の一人娘と既成事実という言葉はどうも絡みやすい。どうやらそっちの方にトラウマをお持ちのようだと考えつき一度目を伏せてからまた見上げる

「節穴だとも言いません…ごめんなさい、言葉が悪かったですね」

彼女にしては珍しく申し訳なさそうに笑うと握られた拳に自分の手を被せる
本当なら気付かないフリをするところなのだろうけれど。

「繕えてません、嫌なこと思い出させてしまったみたいですね…」

目を伏せ、そのままこれまでかは想像つかないほど静かな声で落ち着かせるように言う。