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【>>26、エスサイド】

「『華氏451度』ね。本を読む前に、少しだけ内容を話すわ。タイトルの『華氏451度』は、紙が発火する温度。その世界は、本が禁止され、画像や音声などの感覚的なものばかりの社会。本がない世界なんて私には信じられないけどね。でも、テレビやラジオなどの機器もたくさん出て、何でも調べたら記事が出る……。昔の小説なのに、現代と少し似ているのよ。ちなみに、『図書館戦争』での世界では『予言書』と評され、禁書指定されているの。……興味は持てた？」

私は内容の説明と関連する情報についてを話した。「ドグラ・マグラ」は精神に異常をきたして嫌なことを思い出させないようにするため勧めなかった。

ここからは私についてのことだ。誰かがいない時、私はどうなるのだろう。部屋で1人でいる時は、色を認識できない。まるであの世界にいた時と同じようだ。じゃあ、春華がいなくなったら、私は色を失うのだろうか？

美沙にこのことを伝えたら、わかってくれるだろうか。答えは人によって違うから、私が最後に決めることではあるが。
「……春華がいなくなったら、私はどうなると思う？私は、私のまま存在するの？」

【春華サイド】

「あ、ドミニさん！さっきは挨拶できなくてごめんね。今は『転生ハイツ』の外装を改装しているところなの！手伝ってくれる？」

私はドミニさんに青色の塗料と道具を渡し、手伝いを依頼する。それにしても棗ちゃんは手際がいいな。すぐ終わりそうだ。
「今日のスケジュールは、18時にグルメの配信をして、1時間後にエスちゃんのご飯を用意して、23時には就寝、と……。」

スケジュールを確認したところ、明日は買い物しかすることがない。だから、何人か誘って物や食料を買いに行こう。