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>>117

ディアーナはグウェンの言葉に返答はしなかった。多分何を言っても駄目だろうと感じたのだろう。その代わりにクスクスっと笑みをこぼし、話を変える。あまり触れたくないが、いつか触れなければいけなくなる話に。


「グウェンさん、城の者から六年前のことはどこまで聞いてまして？」

自分自身はあまり思い出したくなかったのだが、これから先、誰かが迂闊に話してしまうことがあるかもしれない。だからこそディアーナは、真面目なトーンでそのことを聞いたのだ。知らなくていいこともあるが、知っていなければいけないことも沢山ある。あまり真面目なことを言わないディアーナは、六年前とイオ、シルヴィアの事に対しては誰よりも真面目でだった。それが異常と言われようともディアーナの中では普通で、息をするように当たり前のことになっていた。

丁度武器庫についたので、扉の近くにいた城の人間に開けるように頼んで、静かにグウェンの返答を待つ。窓の外から聞こえる雨の音が、あまりにも耳障りで悲しくなって、ディアーナはなんとも言えない笑みを浮かべていた。