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「別に、替えなんていくらでもありますから。清潔でないのが心配なのですけれど...」

破ったことは特に気にしてないらしく、グウェンの問いに笑ってそう返せば真っ赤になっている姿を見て可愛いですわね、と呟く。こうやって照れたりするときの反応なんかは女の子らしくて、昔の私とは大違いだな、なんて考えていればグウェンが扉にぶつかったのを見て苦笑した。

「まったく、この城に一般常識を持ち合わせている人は居ませんの？」

自分が言えることではないのだけれど。そう思いながら武器庫から出て行ったグウェンを追いかけようか迷っていた。部屋の中にいても聞こえてくるぶつかる音が心配なのも確かだが、部下に避難などの指示を出さなければいけないことも確か。本当であればイオと元に行って現状確認と指示を受けたいのだが、先ほどの彼の言葉からするにどうやら私は信頼されているらしかった。何もできない私なんて、信頼する価値もないと思うのだけれど。

「あぁ、詫びなどいらないというのを忘れていましたわ」

そう呟けば、疲れたように髪をグシャグシャっとして窓の外を見つめた。やはり、六年前の話題はいいものではないな。そう思いながら。


《ナタノ様、これからどう致しましょうか？別れてもよろしいですし、ディアーナが追いかけても構いませんよ》