二次なりきり掲示板

Re: 【中文】It becomes one story【募集中】 ( No.30 )
日時: 2015/03/20 03:14
名前: 寝退 ◆HyWhrnhVWU (ID: h7vJo80q)

>>29

炎に包まれた城内。金髪の青年が一人佇む薄暗い部屋は荒れ果て、まだ新しい大量の血液が綺麗な壁紙が貼られていたのであろう壁一面を赤く染めていた。
彼は青い瞳で割れた窓から荒れ果てた街並みをぼんやりと眺めると、そのまま自分と同じように狂気に囚われた五人に背を向けて城の外へと歩を進める。

あの人は今どうしているだろうか……と自分の想い人の事を考えながらも、もう彼女と笑い合う事は出来ないのだと落胆の色を隠せない様子で荒地と化した場所の瓦礫の上に座り込んだ。
今日自分は何人殺しただろうか、どれだけ命を奪おうとも消えてくれずにむしろ膨れ上がるこの衝動は何なのかと、青年……シファは血に汚れた自分の手を見詰めたまま無表情でぼろぼろと涙を零す。

何故こんなことになってしまったのか。国や人を守りたいと思う気持ちも、フィオナを支えたいと思う気持ちも何一つ変わってはいない。それなのに、今も頭の中に響く声に逆らえず、その想いとは正反対の行動を取っている。
自分を殺してしまえたら、と仲間達に手を掛けてしまった直後から試みてきたが、どうやらその程度の自由すら許されないらしい。


ふと響いた物音に顔を上げれば、そこに居たのは影の国の王女だった。漆黒の髪を靡かせて静かに佇む彼女は、以前見た時よりも明らかに女性らしさが増しているようだ。しかし彼女がその外見からは想像も付かないような性格の持ち主である事を思い出し、シファは小さく笑みを浮かべた。
確か、六年前にこの地で剣を交えた事があった。その時は、彼女には彼女の正義があったとはいえ、悪と呼ばれる対象は恐らく彼女の方だった。あの時は中立の国の王女、セシリアを守る為に剣を振るう自分が居たというのに、今は目の前に居るシルヴィアの死を渇望してその衝動のままに立ち上がり彼女を見据えている。

これが自分の意志では無いのだと悲痛な声で叫んだとしても、実際に人を傷付けている異常者の言葉を誰が信じるというのか。

シファは瞬時に大剣を構え、突然シルヴィアに飛び掛かりその剣を振り下ろすと、それを見た人間がぞっとする程に綺麗な笑みを浮かべた。涙を流したまま、襲い来る絶望に抗おうともせずにそれを受け入れるという選択をしてしまったのだ。
フィオナを極力巻き込まず、そして苦しめずに解決する方法は一つしか思い当たらなかった。真実を隠したまま、自分の死に対して誰かが心を痛めることの無いように徹底した悪となり、そして……

「……死にたくなかったら俺を殺してみろよ、シルヴィア」

彼女が自分を殺してくれる事を願いながら吐き捨てるように呟き、至極楽しそうにその身に炎を纏わせながら狂気的な笑みを浮かべるシファは、もう涙を流してはいなかった。



(久し振りにシルヴィアと絡めて歓喜です!シファすっかり病んでしまってすみません。)