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二次なりきり掲示板
- 【中文 / 再建】Seize the day【募集中】 ( No.120 )
- 日時: 2015/06/05 20:24
- 名前: JESSICA (ID: qJIEpq4P)
フィロメーナの瞳が一瞬、美しく透き通った。自分の発言のどこかに彼女の中の何かがはじけたらしい。藤の花のような美しい目に一瞬驚くが、テオドールは何やら楽しげなフィロメーナの様子と、その傍を手助けでもしようとするかのようについていくクレメルヒェンを眺めていた。
正直本などを読んだこともないからどんなものでも勧められれば買うつもりでいた。彼女に自分の好みを伝えれば良かったと後でそう思ったが、あまりにも楽しげな彼女の足を止めてまで伝えることではなかった様子で、しばらくして彼女は一つの本棚の前で足を止め、其処から一つの本を自分のところへと大切そうに運んできてくれた。
それは鮮やかな空色の中に銀色の文字が映える一冊の本で、あまり厚くなく、テオドールでも読めそうな本だった。覗き込むようにしてその本の題名と、作者の名前に目を走らせる。モニカ、ファミリーネームも何もないその名前をフィロメーナは気に入っている作家だと紹介してくれた。
「……これなら、俺でも読めそうです」
おそらくそんなところも考慮してくれたのだろう。テオドールはフィロメーナの気遣いに嬉しげに微笑んでそう言った。そっとその本を手に取ると、脆い大切なものにでも触れているかのように、何処か危なげにページを少しめくってみる。
「お気に入りの作家ですか…………なら、最後まで読まないといけませんね」
最後まで、とそう呟いた表情はどこか厳しいもので、今までのテオドールの表情から消え去っていた戦いに生きた人間の刺が含まれていたが、すぐにその気配も消え、気の抜けた笑みを浮かべて見せた。
「……わざわざありがとうございます……これをもらいます。いくらでしょうか?」
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