二次なりきり掲示板

【中文 / 再建】Seize the day【募集中】 ( No.123 )
日時: 2015/06/05 21:56
名前: JESSICA (ID: qJIEpq4P)

「あ、いえ……俺は好みとかそういうのは分からないので……」

 申し訳なさそうにそう呟いたテオドールだったが、どうやら自分の言葉が全く彼女に届いていないことに気付き、思わず口を閉じてしまった。流石にその目に涙がたまっていることに気付いた時は慌てたが、カウンターにかけていく彼女を引き止めることはできなかった。

 そのままの勢いで彼女は酒をあおり飲んだ。クレメルヒェンが心配そうに彼女へと駆け寄っていく様子からして、その光景は異常に見えたが、次の瞬間にはケロリとした様子で自分の前へと彼女は戻っていた。テオドールはどうしたらいいか分からずに戸惑った様子でその様子を眺めていた。

「……あの、すみません……俺のせいで」

 発作的にも見えた彼女の行動を自分のせいだと理解し、テオドールはそう呟いて申し訳なさそうに目線を落とす。クレメルヒェンにもごめん、と一言つぶやいて頭を撫でた。

「……それに、あなたのお勧めを聞いたので、押しつけなんかではありませんよ……感謝します」

 自分のことを考えてフィロメーナが選んでくれたこの本を彼が気に入らないわけはなかった。恥ずかしげではあったが控えめに笑ってテオドールはそう言った。

「……優しい、ですか……」

 テオドールは嬉しげに空色の背表紙を眺めていたが、ふと自分を覗き込んでいるフィロメーナとクレメルヒェンに気付き、小首を傾げた。そしてフィロメーナの問いに対しても意味が分からないといった様子で不思議そうに首をかしげるだけだった。

「……あなたは何もしていませんよ……俺は今すごく幸せですし」

 落ち込んだ様子で肩を落とすフィロメーナに慌ててそう言った。テオドールがお世辞のようなものを言えるはずもなく、それは本心からのことだった。