二次なりきり掲示板

【中文 / 再建】Seize the day【募集中】 ( No.146 )
日時: 2015/06/07 14:31
名前: JESSICA (ID: qJIEpq4P)

「……幸せな時も……?」

 幸せな時も涙が出る。テオドールはフィロメーナからその言葉を聞き、いくらか驚いた様子の中で安心したように笑っていた。どうやら彼女のほうが自分よりも幸せについては詳しいらしい。自分が心配することもなかったということか。

「……そうでしたか……知りませんでした」

 ようやく涙の止まったフィロメーナの横に、寄り添うようにクレメルヒェンが座る。彼女は彼と一緒にいるのだ、何も一人で此処にいるわけではない……自分の心配はどうやら全くの勘違いだったようで、安心と共にちょっとした寂しさも感じた。彼女に自分は必要のないものだったということだ。

「……泣くことは、良いことですよ……自分の感情を我慢する方がよくない」

 テオドールは苦笑してそう言った。自分も昔は仲間の無残な姿に何度も涙し、憎しみを覚えていたが、今ではそんな感情は全て麻痺したように沸き起こることはなかった。全てが終わった後、仲間のすでに動かなくなった体を見ても、ため息しか出てこなくなった。

 こんな自分が本当に優しいのだろうか。彼女が涙した自分の言葉に、彼女の笑みと同等の価値があるのだろうか。昏い感情が沸き起こるが、それを悟られまいと、苦笑が微かな自嘲に歪んだ。

 しかし、次にフィロメーナから発せられた言葉に、テオドールは思わず赤面していた。真綿に包んであるような、とそんな表現を用いられたこともなかった彼は少女のように一瞬で顔を赤くしてしまった。

「……大げさですよ、そんなことないです」

 苦笑してそんな言葉が漏れた。てれ隠しのようにフィロメーナから目線を外してしまい、どうしようもない様子で笑っていた。