二次なりきり掲示板
- 【中文 / 再建】Seize the day【募集中】 ( No.154 )
- 日時: 2015/06/07 17:44
- 名前: JESSICA (ID: qJIEpq4P)
「……悲しいこと、ですか」
泣きたいことはないのか、そう問われてテオドールは苦笑して首をかしげてしまった。悲しいことも、泣きたいことも沢山あるはずなのにも、何も言えなかった。フィロメーナの素直な目に見つけられ、更に言葉は出てこなくなる。
「……罪悪感ですか……そう、ですね、俺は、いろんな罪を犯しました」
大声を出して泣けばその感情を解放できる。フィロメーナはきっと自分のことを心配して言ってくれるのだろう。寂しげな表情は彼女自身の身の上を考えているのだろうか。……彼女も、泣きたいほどの悲しみを背負っているのだろう。
テオドールも何とかその場で作れる最高の笑みを浮かべて見せたが、それも逆に自分の中でわだかまった何かを表に出してしまいそうになるだけだった。今此処で彼女に吐いてしまえばどんなに楽になるだろうかというほどの昏い罪の意識に、無意識に口角がいびつにゆがむ。
「……昔は、随分と泣いていました……でもそのうちに涙も枯れたようです。……涙は、いつか枯れるものですよ、フィロメーナさん。良いようにも……悪いようにも」
確かに泣いたところでその過去を忘れられる訳はない。ただ、自分の感情を解放してしまう訳にもいかない。自分が痛めつけられる分、自分の過去の中に消えていった敵も味方も、全員が”復讐”を遂げられるのなら。
「……俺は、あなたの思っているような人間ではありませんよ……あなたのような素直な人をだましているペテン師かもしれない」
忠告するようにそんな言葉を口にしたテオドールの表情は、今までの穏やかなものとはほど遠いとげとげしい雰囲気と暗く辛いものが含まれていた。ただ、と言葉をつづけた時には、その表情は微かに揺らいではいたが。
「……好き、なんて初めて言われました……フィロメーナさんこそ、お優しい方です」
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