二次なりきり掲示板
- 【中文 / 再建】Seize the day【募集中】 ( No.156 )
- 日時: 2015/06/07 19:01
- 名前: JESSICA (ID: qJIEpq4P)
「……」
テオドールは驚きのあまり、フィロメーナの話をじっと、何を言い返すわけでもなく聞いていた。自分に対して全く物怖じせずに堂々と話し、自分に指まで指すフィロメーナの変貌ぶりに純粋に驚いていたのも理由があった。
しかしそれよりもさらに驚いていたのは、フィロメーナの話す言葉の内容だった。今までの彼女の言動からして——それこそ、テオドールが心配するほどの言動をしていた彼女から、その言葉が話されているとは思えないほどのもので、それは全て自分の心に突き刺さるもので、何も言えなくなってしまう。
何よりも自分のため、と言われた。その一言でテオドールは見てわかるほど戸惑ってしまった。今まで自分の感情が自分のために湧きあがっているとは思っていなかった。誰かのため、自分に命を奪われた人たちのためとばかりと思っていた。人は悲しみを抱えるものだと、フィロメーナは言った。彼女の話しぶりから、それが自分をからかっている様子には見えず、憤りを感じることもなかった。
自分は酔っていたのだろう。誰かのために自分を犠牲にしていると感じていた自分自身に。泣くこともできなくなった自分を慰めてくれる誰かを求めていたのだろう。それを、自分では気づくこともできなかった、フィロメーナに言われ、はじめて気づくことができた。
自分はあまりにも浅はかで、意地の悪い人間だ。テオドールは改めてそれを実感していた。実感してそして、フィロメーナの言葉に苦笑を洩らした。それは無理に出しているようなものではなく、自然にこぼれ出た様子だった。
「……そうですね、あなたとはついさっき会ったばかりで……俺もあなたのことを何も知らないのに」
何で自分はそんなことを言ったのだろう。見せてくれた面は優しいと感じた、といったフィロメーナを見て、ばつが悪そうに苦笑していた。
それから、笑ったり泣いたりと忙しいフィロメーナの様子に幾分戸惑いながらその様子をどうしようかと眺めていた。これも多分先ほどあおり飲んだ酒の影響だろう、止めることもできなかったが、彼女の様子を見ていたら気分が楽になるような気がした。自分にはない彼女の素直な感情が心地よい。
「……俺には親しい友人がいないので……誰かと話す機会も少なくて」
騎士団のことを思い出しながらそう言った。それでさびしいとも思っているが、強制的に作るという選択肢もない。以前自分と友達になってくれた青年のことを少し思い出しながら、フィロメーナの言葉に笑みを浮かべた。
「……あなたは優しいですよ、フィロメーナさん……ありがとうございます…………俺も、ちゃんと泣けるようになったら……ちゃんと泣きますね」
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