二次なりきり掲示板

Re: 【中文 / 再建】Seize the day【募集中】 ( No.173 )
日時: 2015/06/18 04:41
名前: 寝退 ◆HyWhrnhVWU (ID: FGcintdM)

>>172

イヴが居る部屋とはまた別の一室。そこは他の部屋と比べれば若干の窮屈さを感じさせるが、あくまでもこの屋敷内の他の部屋と比べた場合の話であり、人が一人暮らすには十分過ぎる広さだった。リオ自身が広いと落ち着かないからという理由で小さめの部屋を希望したのだが、彼が望むような部屋はこの屋敷内には存在しなかったらしい。

部屋に慣れはしてもどうにも落ち着かないようで、どうしたものかと風に広がるカーテンを眺めていたリオは、鈴の音に小さく視線を動かす。
ベッドに横たえていた身体を素早く起こして革靴を履けば、部屋を出て廊下を進む。カツカツと鳴るその足音がぴたりと止んだのは、綺麗な彫刻が施された扉の前だった。この部屋からリオの自室まではそれなりに距離があるのだが、脱走者である彼はこの部屋の中で鳴る鈴の音を一度も聞き逃した事が無く、今となっては眠りに就いている時でもその音には目を覚ますようになっていた。

控えめにノックをすれば、少しの間を置いて入室を促す返答が返ってくる。普通であれば静かに扉を開き頭を下げて挨拶をするのだろうが、リオは堂々とした態度で扉を開くとそのままずかずかと室内へ足を進め、自分の主人であるその少女を切れ長の瞳で見下ろした。

「今日は体調、良いみたいだね」

無表情のまま部屋に入りイヴを見下ろしたリオだったが、不意に微笑みかけると「良かった」と言葉を続けて彼女の柔らかな髪に触れる。リオがこんな表情を見せる事は珍しいのだが、イヴに対しては自然と優しい表情を浮かべている事も多く、彼女がその笑みを珍しいと感じる事は無いのだろう。

周りの人間には不満を抱かせてしまいそうな一見厚かましいこの言動も彼女の願いを知ってこその振る舞いでもあり、決して敬意を払っていないという訳では無かった。
彼を脱走者だと知りながらも命を救ってくれたイヴはリオの恩人であり、そしてただ一人リオを扱える人間でもある。リオはイヴが心から嫌悪するような事は一度もした事が無く、我儘から来る命令に背いたり面倒な仕事を放り出す事はあるものの、彼女が望む事は可能な範囲で叶えてきた。

イヴの金色の細い髪がさらりとリオの指を擦り抜けると、そのままその頭を撫でて窓の外へと視線を流す。

「好奇心旺盛なお嬢様は、今日も外の世界に恋焦がれているご様子で」

部屋に入ってすぐに彼女の服装を見て呼び出しの理由を察していたリオは、窓へと歩み寄りながら外から流れ込んで来る風に意識を集中する。天候の変化も恐らくは無さそうだ、と空を見上げ、再びイヴへと視線を戻した。



【絡み文ありがとうございます!読んだら絡みたい衝動に駆られてしまったので自分の力量に逆らって始めさせていただきます…今後返信遅れてしまったらすみません!】