二次なりきり掲示板

【中文 / 再建】Seize the day【募集中】 ( No.230 )
日時: 2015/08/03 18:25
名前: JESSICA (ID: 3L0NyJ0C)

「……そういうものですか」

 注意される事が嬉しいなどとキリルは一度も思った事はない。誰かと一緒にいる事で安心できるたちでもなかったため、ロイの発言は不思議なものだった。これが人付き合いの上手な人の特質なのだろうか、とぼんやり考えてみる。だったらなおさら、自分は一人でいるべき人間なのだろう。
 注意される事が好き、というところだけ切り取れば少し変質的な人間の種類に分別されるだろうな、と真面目と自分が言ったことに対してあまり好意的な表情をしなかったロイを眺めながら、思っていた。自分の一言はきっと余計なことだったのだと思えば、謝らなければな、と輪郭のなっていない思考にたどり着く。

「……失礼なこと言ってしまってすみませんでした……ただ、俺はそうやってた方がかっこいいと思いますよ……」

 無意識のうちに出たその言葉をキリルはそのまま無視し、上がり続ける体温に幾分苛立ちを覚えながら再び水道に手を伸ばすが、ふと体が引き寄せられて思わず寄りかかってしまう。支えてもらったのだと理解するのに数秒要してしまい、既に断るタイミングを失っていた。酒の強いにおいに思わず酒臭いですよ、と小さく俯きながら呟いた。
 正直自分一人で帰れる自信はなかった。この足のせいもあり、壁に寄りかかりながら帰るはめになるのだろうと思っていたのだ。断ろうとも思ったが、こうなればもう頼った方が面倒臭くもない。後で途方もなく恥ずかしくなるだけだが。
 しかしロイはそのまま部屋を出ようとせずに何やらごそごそとし始めていた。どうやら薬を探しているようで、やっとで顔を上げた時には辺りは今までの様子を残さないまでに散らかっていた。ロイのこの性質を知っているキリルは己の性質と対極にいるこの人に頼ることに微かな戦慄さえ覚えたが、どうしようもないとあきらめ、確か薬ならあそこですよ、と指をさしつつあたりのものをかき集め、元あった場所へと戻し始める。