二次なりきり掲示板

Re: ( No.233 )
日時: 2015/08/03 22:47
名前: 寝退 ◆HyWhrnhVWU (ID: FGcintdM)

>>218

お久し振りです!此方こそスレ主なのに不在気味で大変申し訳ありません。
中文スレという事もありますし各々のペースで楽しんでいただければと思っているので全然大丈夫ですので…!むしろ、ありがとうございます!



>>219

目を覚ました時、そこは知らない場所だった。
リオは幼い頃から施設で育ち、外の世界に出てからも安定した生活等手に入る訳も無く、居場所を定める事も出来ずに一人転々としながら自分の生存理由を探し続けた。

あの施設を思わせる程に広く、しかし対極的な温かみのあるその部屋には高級家具が並び、常に清潔に保たれているようで埃一つ見当たらなかった。
その部屋はリオにとって別世界の様に感じられた。もしかしたら自分はまだ目が覚めていないのか、と……そんな事を思わせる程に。


まだ痛む身体に鞭を打って上半身を起こし、廊下の向こうからこの部屋へと近付く足音に気付いたリオは咄嗟に立ち上がると扉の直ぐ横へと移動した。そして扉が開かれると同時に部屋に足を踏み入れようとしていた執事長の喉元を掴むと、その手に若干の力を加えながら目を見開いて相手を睨み付ける。

「動けば殺す、……目的は何だ?」

そう低い声で囁くと相手は動きを止め、じわりと汗を滲ませながらただ視線だけをリオへ向けた。その瞳に映る自分があまりにも滑稽に思えて、一人小さく笑う。

この僕を助けて治療したというのなら、その目であの数字を見て、そして気付いている筈だ。なのに何故僕は生かされている。拘束しようともせずに、何故そんな無防備な状態でこの部屋に立ち入ろうとするのか。
あの施設で飼われていた者以外、世界の全ては敵であった筈だ。なのに、どうして。

そんな疑問を抱くリオの言葉に対する執事長の返答はあまりにも信じ難いものだった。そんな愚かな人間が居るものかと苦笑し、そして否定するように首を振る。
しかし、リオは何度問い詰めても同じ内容しか話そうとしない執事長の首から手を離すと「もう良い」と一言そう呟いて、慌てて走り去るその相手の後ろ姿を見ようともせずにベッドへと戻り倒れ込んだ。


——……そんな馬鹿な話があるか、僕はもう終わりにしたかったのに。


そう心の中で悪態を付きながら再び毛布の中に潜り込むと、意識を失っていた時に暗闇の中で聞いた声が、再び頭の中に響く。


『貴方は助けたことを迷惑と言うかしら?』


アレはその少女の声だったのか。……そんなの迷惑に決まってるじゃないか。
漸く全てから解放されると、そう思っていたのに。どうせまた僕達は出会うのだから、今度こそシリルに全てを話して、弟として受け入れてもらえたら良い、と。……そんな夢を見ていたのに。

まだ痛む箇所はあるが、自己治癒能力も異常と言える程に引き上げられているリオは身体が正常な動きをするか確認しつつ、大きく開け放たれた窓へと視線を移し、そこから逃げ出そうかと思案する。
しかし再びこちらへと近付いて来る気配を感じてその場に留まったのは、リオがそうしたいと思ったわけでもなければそうするべきだと感じた訳でもなく、言ってしまえば只の気紛れだった。

どうせ終わるはずだったのだから、もう逃げる必要も無い。そんな気がしてしまったのだ。





(全く何も問題ありません!状況を把握してからの方がスムーズかと、少し時間を進めさせていただきました。)