二次なりきり掲示板
- Re: ( No.239 )
- 日時: 2015/08/06 10:35
- 名前: 寝退 ◆HyWhrnhVWU (ID: MXjP8emX)
>>237
『何も、怖いことはしないよ…』
二人きりの空間に響くその少女の声は、直ぐ近くから聞こえた。彼女から放たれるその声は、いつも耳障りだと感じてしまう程に不愉快な言葉を連れて来る。僕のような存在が、こんな対象を相手に恐怖心を抱くとでも思っているのだろうか。
イヴが優しく包み込むようにして重ねて来たその手を、彼女の次の言葉を聞くと同時に振り払い、リオは漸くイヴの姿をその瞳に映した。漆黒の瞳の奥、リオの中で渦巻くその感情は殺意にも似た負の感情だった。身体に重く圧し掛かってくるこの感情を声に出せたなら、言葉に表す事が出来たのならば、この息苦しさは無くなるのだろうか。彼女の言葉は何度も僕に残酷な現実を思い起こさせる。この状況を面白がっているのか。こんな僕を見て滑稽だと笑うつもりなんだろうか。
「大切な人なんて、」
それ以上言葉を続ける事は出来なかった。それは今の僕にとって何が何でも否定したいと、そう感じてしまう現実だったから。何て無様なんだ。こんな事ならずっと一人で生き続けた方が数倍マシだったんじゃないか。
不意に視線を落としたリオは無表情のまま、本当に静かに一筋の涙を流した。やっぱりこの世界に逃げ場なんて無い。普通に生きる事さえ許されず、普通の人間達から見れば抹消されるべき存在なのだ。それは何年……いや、この先何十年という時が流れても変わらない現実だ。
——……僕はただ、もう一度笑いたかっただけだ。
リオは苦笑しながら、空間を共有している彼女の存在を思い出したかのようにイヴへと視線を移す。イヴは大きな瞳に涙を浮かべながらリオを真っ直ぐに見詰めていて、そのまま溢れ出した大粒の涙にリオは一瞬怪訝な表情を浮かべたが、不思議な事にそこに嫌悪感は存在しなかった。
「……あ、そう。なれるモンならなってみなよ」
あの時、彼女の真剣な訴えに対して、口をついて出た言葉は随分素っ気無いものだった。自分もすぐに立ち上がって扉の方へと足を進め、驚いた様に此方の様子を窺うイヴに「お前の涙が染み付いたシーツで寝ろって?」と呆れた様に笑いながら冷たい言葉を投げ掛けた。
思えばあの頃の自分は本当に酷かったなぁ……とリオは自嘲するように笑い、イヴを直視出来ずに再び快晴の空へと視線を戻す。
「……あー、その。イヴもさ、やっぱ変わったよね」
そして自分の事には触れようとはせずに、そんな言葉を投げて横目でイヴの様子を窺う。けれど、こうやって思い返せば本当に彼女も変わったと、そう思ったのも事実だった。二人を包む暖かな風はあの時窓から吹き込んできたそれととても良く似ていたが、状況は随分変わったものだ、とリオは穏やかな微笑みを浮かべた。
【頑張って尖らせました…!とりあえず出会い編だとこの辺りまでかな、と思い現実?に戻してみましたが、空さんが続けたいようであれば引き続き過去編へと引き返しても問題ありませんので!セクハラ大歓迎です←】
総合掲示板
小説投稿掲示板
イラスト投稿掲示板
過去ログ倉庫
その他掲示板
スポンサード リンク