二次なりきり掲示板
- Re: 【中文/再建】Seize the day【募集中】 ( No.270 )
- 日時: 2015/10/04 15:14
- 名前: 佐鳥 (ID: LuHX0g2z)
- 参照: 文才がぁぁぁぁぁ欲しいィィィィ
>>269
昼も夜も無く鞭打たれながら働かされた奴隷の如くヒースコートの体は憔悴に憔悴を重ねていた。今この時も少しずつ。意識は曖昧で視界もどんどん悪くなっていき、もう何かを考えることすら疲れているのだ。ただそれなのに心臓がどくどくと忙しなく脈打つことだけは感じていた。支えることが困難になった頭をだらりと下げ、ヒースコートはただ心臓を動かすことだけに集中するようになった。それしかできなかった。
意識が曖昧模糊なものと化していく中、ヒースコートはその中にある人物の姿を思い出していた。
二十歳を過ぎた男の容姿に似つかわしくない子供のような華奢な体、そしてそんな容姿に更に似合わないいつでも苛立っているかのような眉間にしわを寄せた顔。味気も色気も何もないモノトーンカラーの装いで自身の身を固めたそいつは、いつも可愛げの欠片も無く俺のことを罵ってきた。
生意気なガキ。それでも共に過ごした時間には決して無意義なものは一つもなかった。
アルフレート、ほとんど無音と言っても良いただの囁き声になってしまった相棒の名前は、もちろん彼の耳には、また誰の耳にも届かないものとなった。
しかしながら、これは現実の出来事だろうか。華奢で幼げな体に栗色の髪をしたあの生意気な青年と酷似した特徴を持つ誰かがヒースコートを縛る麻縄の手錠を外そうとしている。
もうまともに思考することもままならないヒースコートは何も言わずぼんやりとその様を見ていた。しかし、ヒースコートのだだっ広い荒れ地のような絶望に満ちた心に、希望が宿ることは無かった。
まさか、アイツのはずがない。だってアイツが此処にいるなんてそんな具合の上手い話があるわけがないじゃないか。それにきっと麻縄だって外せないだろう。こんな重宝されて育ったような清潔で綺麗な手の人間にはきっと出来ない。そう思った刹那のこと、その人は不意に顔を上げ、女性のごとき甲高い悲鳴を上げると、反射的と言っても良いようにパッと縄から手を離した。
ヒースコートはその時今一度、その人の姿を視界いっぱいに見た。ほぼ止まってしまった思考では相手を認識することもままならないことだったけれど、その人が幼く華奢な相棒に似ていることと、可憐な乙女が着るようなワンピースを纏っていることだけは理解できた。
嗚呼、今は何もかもわからないし何かを説明されたら理解する気力なんてない。しかしながら過去のことだけは思い出せる。自分はこの子に会ったことがある。
驚いたように後ろへ後退していったその人を見据えて、ヒースコートは言う。
「……勘違いかもしれないが」
元気のない情けない声を絞り出しながらも、言う。
「アンネリーゼ=クランツ?」
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