二次なりきり掲示板
- Re: 【中文/再建】Seize the day【募集中】 ( No.272 )
- 日時: 2015/10/04 19:54
- 名前: ナタノ (ID: Uzw.lalg)
>>268
まだ研究所にいた頃、深い湖のような思慮深い翡翠はよくモニカを追いかけていた。モニカは昔から人見知りが激しく彼女に直接話しかけるなんて事はできなかったけれど、彼女の事はやはり気になっていて仲の良かった人に名前を尋ねたことがあったのだ。
その時聞いた名前はなんだったっけ。思い出せ、思い出せ。
目の前の彼女が細い声でモニカの名前を呼んだ。はい、と答えようとしたのと同時にモニカを温かい何かが包みこむ。彼女が自分を抱きしめているのだと気付いたのは、優しい声が耳元で響いた時だった。
「よく、無事で生きていたわね」
慈しむような声だった。たった一言だけなのにその声にはいろんな感情が混ざっているように聞こえて、モニカはたまらない気分になった。暖かな腕が小さなモニカを包み込んで心地よい。モニカはその時ようやく女性の名前を思い出した。
あぁ、そうだ。彼女は、
「サラさんっ…」
例えば貴女こそよくご無事で、とか。会えて嬉しいだとか、ずっと話してみたかったんだとか。言いたいことは沢山あったはずなのに、けれど声に出たのは彼女の名前だけだった。
そっとサラの背中に手を回す。柔らかい人間の体に触れるのは本当に久しぶりで、モニカはきゅっとその背中を掴んだ。そしてサラが腰を折り曲げてしゃがんでいるのに気付くと、苦笑して手を離す。そして微笑んで出した声はもう震えていなくて、代わりにまるで小さな子どものように弾んでいた。
「会えて嬉しいです、サラさん。どうぞ私のことはモニカ、と」
それからチラリとベンチに目をやってサラを振り返ると、何度か咳払いをして意を決したように口を開く。断られるかもしれない。けれどもう少しこの喜びを持続させたかった。
「…朝ご飯、まだお召しになって居られなければご一緒致しませんか?」
パンもハムもチーズもとっても余っているんです。とモニカは泣きそうな顔で微笑んだ。
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