二次なりきり掲示板

Re: 【中文 / 再建】Seize the day【募集中】 ( No.43 )
日時: 2015/05/18 23:04
名前: 寝退 ◆HyWhrnhVWU (ID: hqDEfpDX)
参照: では開幕します。鈍りまくっていますが宜しくお願い致します……

【 アンネリーゼ=クランツ / 城内 / 礼拝堂から地下の研究施設へ 】


目を閉じて想い出していたのは一年前のこと。それは自分にとって掛け替えのない大切な記憶で、あの日を境に自分の在り方も自分を取り巻く環境も随分と変わった。その変化に対して少なくとも自分の中では、良い方向へ向く事が出来たと思っている。


礼拝堂で祈りを捧げ終えたアンネリーゼは、ステンドグラス越しに差し込む虹色の光を眺めて柔らかく微笑む。そのまま光を受けて緋色の輝きを放つ瞳を少しだけ見開くと、自分を見下ろすマリア像に向かって小さく口を開いた。

「何処に居ようとも光は平等に与えられるのですね……」

その呟きは静寂の中へ溶け込むようにして消えて行く。視線を落として何処か寂し気な笑みを浮かべたアンネリーゼは礼拝堂を出ると、そのまま地下の研究施設へと続く階段を目指して足早に歩き始めた。

この閉ざされた空間の中であったとしても、外と変わらず得られるものは多く有る筈だ。しかしそこに目を向けられる程に心に余裕を持って日々を過ごすことの出来る人間は、この国にはもう……
そんな事を考えながら階段を下りて研究施設へと足を踏み入れると、アンネリーゼはその光景に唖然とした様子で固まってしまった。


いつも雑用を押し付けられている彼女は、数時間前に毎日の習慣となっている施設内の大掃除を終わらせた筈なのだ。しかし綺麗に整っていた筈のその空間で、何やら謎の爆発が生じたらしい。割れた実験器具、歪んだ机に飛散した液体……一体此処で何の実験が行われたと言うのか。それは本当に能力者となってしまった人間達を救う為のものなのだろうか。

アンネリーゼは自分の頬を軽く引っ張り、これが現実である事を確かめながら周囲を見回すも、そこに居た研究員達は彼女の存在に気付いた瞬間にバサバサと書類や私物を掻き集めて施設を後にしてしまった。

「だ、誰が……どうして、何故こんな事に……」

その場に一人取り残されたアンネリーゼは一瞬酷く落ち込んだ様子で俯いたが、漸く自分の頬から手を離すと、自分の顔を叩き気合を入れて「やるしかない」などと一人ブツブツ呟きながら慣れた手付きでガラスの欠片を拾い始めた。