二次なりきり掲示板

Re: 【中文 / 再建】Seize the day【募集中】 ( No.56 )
日時: 2015/05/22 02:30
名前: 寝退 ◆HyWhrnhVWU (ID: /YdTLzNI)
参照: 少し遅れてしまいました、すみません!

>>48-50

一見自分を突き放しているようにも受け取れるキリルの言動、そしてその表情を見て思わず一瞬俯いてしまったが、彼の行動の中に確かに自分に対する優しさを感じたアンネリーゼはすぐに顔を上げて「ごめんなさい」と謝罪の言葉を口にする。
その時、丁度髪を掻き上げているキリルの姿が瞳に映り、彼女は少し驚いたような表情を浮かべてから嬉しそうにその目を細めた。

「いつも隠れてしまっているのが勿体ないです」

思わず口から出てしまったその言葉に、咄嗟に両手で口元を覆う。いつもは彼の濁りの無い綺麗な黒い瞳もその端正な顔立ちも前髪に隠れてしまっていて、彼の顔を正面から目にしたのはこれが初めてだった。素直な感想をそのまま口にしてしまったが、恐らくまたキリルには不快な思いをさせてしまうのだろう。

しかしそんな彼女の小さな憂鬱を吹き飛ばす勢いでロイが一人楽しそうに燥いでいたかと思えば、セレーナが現れた瞬間に紳士的な振る舞いで迎え入れ、その姿はまるで別人のようだ。
アンネリーゼが思わず険しい表情で見据えていると、不意にセレーナから向けられた柔らかい笑みに、そして自分を気遣う言葉に忙しなく視線を動かしてから勢い良く頭を下げた。

「あっ、あの……その、ありがとうございます……!」

ただただそんなありきたりな言葉しか出て来ない自分に失望しながらも、気品溢れるセレーナの立ち振る舞いに見惚れてしまい、落ち着かない様子で自分の髪を弄りながら俯く。

その間も繰り広げられるロイの過剰なエスコート。場の空気を変えてしまう程の変貌ぶりに思わず顔を歪めたアンネリーゼは呆れたようにその光景を眺めていたが、ガラスに手を伸ばすセレーナに驚愕の声を上げた。

「セレーナ様……!」

しかし彼女の行動をたかが研究員見習い程度の人間が制止するというのもあまりにも恐れ多い事で。彼女が発する言葉から強い意志を感じ取ったアンネリーゼは、ただ狼狽えながら彼女の行動を見守る事しか出来ない。

そうこうしているうちに手際良くガラスを処理したセレーナは、キリルを心配した様子で優しい笑みを浮かべながら彼に近付き、何か囁きながらハンカチを差し出していた。
あまりにも近い二人の距離に頬を赤らめたアンネリーゼはなにか見てはいけないものを見たような気分になり顔を背けたが、部屋の中に広がる甘い香りに再びセレーナを見たアンネリーゼは、自分が一生持ち得ないであろう彼女の女性としての美しさに憧れと羨望の入り混じった眼差しを向けていた。

【中文 / 再建】Seize the day【募集中】 ( No.57 )
日時: 2015/05/22 19:26
名前: JESSICA (ID: qJIEpq4P)
参照: http://すみません色々と矛盾してました……

「……は?」

 一瞬俯いてしまったアンネリーゼだったが、すぐに顔をあげて何やら謝罪の言葉を述べられた。そのことに関しては何も言わずにただ黙々と作業を続けていたのだが、その後に聞こえてきたその言葉に思わずそんな言葉が口元から洩れる。

 そして気がつけばいつも極力隠そうとしている自分の顔があらわれているのが分かり、慌てて再び髪を下ろす。驚いた様子から微笑みに変わったアンネリーゼの表情と、その後咄嗟に口を手で覆った仕草から、恐らく彼女はとても素直な性格なのだろう。こういう女性が此処にいてくれることはいいことだ、と遠目からでも分かりそうなほど赤くなっていく自分の顔を隠しながらひたすらに思っていた。

 ロイの変貌ぶりには驚きよりも呆れが勝っていた。普段のあのやる気の無さから此処まで一瞬で変貌できるとなると、どっちが本性なのかも境界線が自分自身で分からなくならないものだろうか。もしかしたらもう一つの人格でもあるのかもしれないな、と上品な仕草をして見せるロイを幾分白い目で見ながら、我関せずといった様子で部屋の隅に立っていた。

 このままロイの一種の芝居ともとれる見事な変貌ぶりやアンネリーゼのロイに対する無意識に出るのであろうちょっとした暴言やセレーナに対する慌てふためきようを見ていても面白かったのだが、どうやらあのガラスは指の深くに突き刺さったらしく、指先からの出血が止まる様子はなかった。いらだたしげに舌打ちを漏らしたキリルは見つからないうちにと、アンネリーゼの声に合わせてドアを開けようとした。

 しかし、その行動はすぐに止まってしまう。不意に心地よい匂いに包まれたキリルは目線を上げて少しの間思考回路が停止した。どうやらセレーナが自分の怪我に気付いていたらしい、一瞬怒られたとも思ったがそれも違うようで、心配そうに自分へと近づいてくる。

 そして差し出された桜色のハンカチや、セレーナの振る舞い、そのたびに広がる香りに、目の前の人間が王族であることに踏まえ女性として一級と言ってもいいほどの品を持っていると認識してしまった。自分に対する優しい言葉やその笑み、そして何よりもその距離にキリルは一気に自分への恥や恥辱を思い出し、言葉も体も、思考回路そのものが停止してしまった。

「……っあ、……っそ、の……それは」

 何とか言葉を出そうとするものの、それはただの吐息や微かな音にしかならなかった。ここまでくれば隠すこともできず、顔は紅潮し、目線すら地面に落してしまっていた。ひたすらに研究室の地面を見ながら、自分の心臓の音や体温の上昇、セレーナのコロンの香りを神経質な五感が感じ取り、ただただ自分を責め立てていた。