二次なりきり掲示板

Re: 【中文 / 再建】Seize the day【募集中】 ( No.98 )
日時: 2015/06/02 02:03
名前: 寝退 ◆HyWhrnhVWU (ID: FGcintdM)

>>96-97

夜の静寂を引き裂くようにして突如辺りに響き渡る爆発音。無情にもガラガラと音を立てて崩れ落ちる廃屋を視界の隅に捉えつつも、アルフレートは眉一つ動かす事無く、ただ周囲の気配を探りながら数回静かに視線を動かした。

確実に近付いて来る何者かの気配に顔を顰めながら溜め込んだ息を吐き出すと、栗色の髪を靡かせ至極億劫そうに立ち上がる。

さらりと夜風に流れる細い髪と小柄な体型。可憐な女性を連想させるようなその風貌からは、これでもかという程に眉間に深い皺を刻み舌打ちを漏らす普段の彼の姿など想像も付かない事だろう。
正面から見ても女性だと勘違いされる事もあるくらいだ。もしも彼が初対面の相手に対して穏やかな微笑みを繕う事が出来ていたのなら、今もこんな状況には置かれていなかったのかもしれない。

しかしながら建物の上から険しい目付きで辺りを見渡している彼が初対面の相手に対して優しい笑みなんてものを向ける訳も無く、実際には殺意を込めた不気味な笑みと共に銃口を突き付ける可能性の方が遥かに高いのだ。


煌々と輝きを放つ月の光にさえ鬱陶しさを感じたアルフレートは、遙か上空を見上げてふと(アイツも今宵月を見上げただろうか、)とそんな事を思う。
……しかし脳裏を掠めた妹の顔は、 突如彼の背後から放たれた数発の銃弾によって一瞬にして掻き消された。

即座に目を見開き突然の攻撃に対して反応を見せるも、彼が普通の人間だったなら、抵抗する術も無く弾を受けてその身体は呆気無く地に伏していた事だろう。
しかしアルフレートは普通の人間では無い。良くも悪くも、だ。そのお陰でこうして生き永らえているのだとしても、彼は生なんてものに対する執着など持ち得ていない。

「俺は一体いつから追われる側になったんだ……」

思わずそんな愚痴を漏らすアルフレートに対して、彼の心の声は無遠慮に問を投げ掛け続ける。


何故、俺は今弾を避けたんだ?このまま惰性で生き続けるのか?

死が怖いのか、それともーー……


まるでそこに何も無かったかのように建物を通過し一階に降り立ったアルフレートは、その声を掻き消そうと仏頂面で頭を掻き乱す。ギシ、と軋む床を見下ろして再び舌打ちを漏らす彼は一体何が気に食わなかったのか。その苛立ちは先程の自分自身の行動に向けられているのか、それともその軋む床に対して何か思う所があったのか。

素早く周囲を見回しあらゆる物質を透過しながら前方へと進むアルフレートは、自分が何処へ向かおうとしているのか……それさえ分からずにただ前を見据えて足早に歩を進めた。



【国の荒れている部分もなんとなく描写出来ればと思ったのですが、入りづらそうな絡み文になってしまってすみません……攻撃を仕掛けてきた相手がサラさんでも、それは違う何かという設定で場を離れたアルフレートに普通に接して来て下さっても大丈夫ですので!】