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【寂れた商店街のコンビニ前/松里千草】


自販機の取り出し口に手を伸ばし、今しがた買ったストレートティーを手に取る。ピ、ガタンという音と共に千草に買われたそれは乾いた喉を潤してくれた。

しかしこの自販機、すぐそこのコンビニの中にも飲み物は売ってるのになんでわざわざその前に設置したんだろうか。此処に来るたびに毎回千草は謎に思う。飲み物を買うときにコンビニじゃなくて自販機を頼る人って何人いるんだろう。まあでも、自販機に売っている飲み物はコンビニに売ってないものもあるし、そこまで損な位置に建っているわけでも無いのかもしれない。たった今千草が買ったこの紅茶とか。

紅茶を手に千草は家に向かって歩き出した。夜中に黙って家を抜け出してきたことが親にバレたら絶対に大目玉をくらうだろう。それが解っているのにこうして外へ出て行く理由は、親に逆らう度胸も無い千草の小さな反抗心だったりするけれど。

（だからって夜中に出歩いたら補導されるし……最近は何があるか解んないもんね)

ふと千草の脳裏に浮かんだのは友人——相手はどう思っていたか解らないけれど千草にとっては友人と思っていた少女の顔だった。今の千草よりももっともっと色の明るい茶髪をした、御洒落の好きな女の子だった。

ちらつくその子の顔を頭を思いきり振って掻き消そうとした。こんな遅い時間帯に良くない想像をするのはやめよう。もう一度紅茶を口にして、千草は足早に歩き出した。


【人間を初めて動かしてみた。相手が居ませんという方、あるいは絡んでやってもいいよ！　という方、人間でも吸血鬼でもばっちこいですので良ければお相手お願いします】