二次なりきり掲示板
- Re: 『 トロイメライの隠し場所 』 -本編解禁- ( No.163 )
- 日時: 2015/08/10 08:17
- 名前: 鯨 (ID: S2/Ss8/E)
>>157
【どこかへ続く道の途中/落花 裏葉】
裏葉は輪廻を探して彷徨う内に来たことのない道に辿り着いてしまっていた。散々走り続けたせいか息はとうの昔に上がりきってしまっている。
「どこ行っちゃったんだろう…リンくーん」
乱れた呼吸を整えて、夜も深くなってきたことで大声を出すことも憚られた裏葉はひっそりした声で輪廻の名前を呼んでみる。これではたとえ近くにいたとしても気付かないだろうに、そういうことに気付けない辺り裏葉は平凡だ。綺麗な月の夜だったというのに足早に流れてくる雲に月が隠され数十分前から月の明かりは地上に届かなくなっていた。だからだろうか。目の前の人物の気付かなかったのは。
「さて、もうそろそろ“還ろう”かな」
「うわ!?」
突然暗闇から声が聞こえて、裏葉は若い乙女にあるまじき豪快な悲鳴をあげた。世ではキャアなんて悲鳴を上げる可憐な人の割合の方が少ないため裏葉のこれもまた、平凡の一言に尽きる。
聞こえてきた声は若い男のようで、しかし聞き覚えはなかった。
暗闇。姿の見えない男。この二つの単語がぐるぐると裏葉の脳裏を駆け巡る。もしかして幽霊だろうか。散々吸血鬼という存在と戦っているにも関わらず幽霊は怖いという謎の感性を持ち合わせている裏葉の心臓はバクバクと強く脈打つ。
と、雲間に隠れていた月が顔を出し男の姿を白銀の光の下に照らし出した。身長は裏葉よりもスラリと高く若干中世的な華奢な体格をしている。色素の薄い肌は月明かりの下では溶けてしまいそうなほどたおやかで、大きな香染色の瞳に影を落とす長い睫毛は大いに裏葉のコンプレックスを刺激した。
「き…綺麗な人だなぁ。神様は何でこなに不公平なの。睫毛の長さだけでいいから分けて欲しい」
ぽろっと零れたのは只の本音で裏葉は慌てて口をつぐんだ。
(ミス平均値が才蔵さんに絡みにいきました!)
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