二次なりきり掲示板
- Re: 『 トロイメライの隠し場所 』 -お知らせ- ( No.173 )
- 日時: 2015/08/10 17:40
- 名前: ナタノ (ID: S2/Ss8/E)
>>165
【寂れた公園/真谷 色人】
ブランコなんていつぶりかしらと言いながら、苦戦していた色人とはまるで逆に立花はブランコを勢い良く漕いでみせた。成人男性の出で立ちをした色人とは違い、彼女には恐ろしいほどブランコがよく似合った。彼女の綺麗な長い髪と赤いスカートがたなびいて色人は幸せな気分になる。可愛い女の子が大好きなのだ、色人は。
「ハナさん、ブランコ漕ぐの上手ね」
色人は立花の事をハナさんと呼んでいる。笑太郎のあだ名をつけたのと同じ法則でいくと立花はリッちゃんになるのだが、彼女が自分よりも年上である事を思うとそのあだ名で呼ぶのは憚られて、ハナさんと呼んでいる。近くで見ていてもどうやって漕いでいるのかよく分からないのだが、普通は皆ブランコに乗れるものなのだろうか。今度笑太郎にも聞いてみようと色人は思いながら立花が行ったり来たりするのを飽きずに眺めていた。ブランコに乗るとどう景色が変わるのだろう。
しばらくすると立花は強く地面に足をつけると、ブランコを止めて無邪気に微笑んだ。こんな笑顔を見ていると彼女が自分よりも年上である事など到底信じられない。これだから吸血鬼は面白い。色人も立花の無邪気な笑顔に微笑み返す。家族とこうして語らう時間は普段あまり多くはないから色人は嬉しくなっていつもよりお喋りになる。
「ハナさんと会うのは確かに久しぶりね。ハナさん相変わらず可愛らしいお洋服着てるわねぇ、すごく似合ってるわ」
色人はブランコを軋ませながらニコニコ微笑む。豪奢なレースにふわふわしたフリル。それが似合うのはひとえに可愛い女の子であるからだ。なんて素晴らしい芸術だろう。女の子とフリル、白いレースにドレス。この組み合わせは最早芸術の域に近いと色人は思っている。
「いいわねぇ、女の子はやっぱり華やかだわ。白いレースとかフリルとかそういうものが似合うのは女の子の特権よね」
色人はふと思い出したようにベストの下に着たワイシャツの胸ポケットから小さな包み紙を取り出した。可愛らしいピンクと白のドッドをした包装紙のそれを色人は立花に差し出す。
「この間雑貨屋で見つけて可愛くて思わず買っちゃったんだけど、私は使わないから。もし良かったらハナさん使ってくれない?」
包装紙の中には布で作られた小振りなコサージュが入っており、それは小さな花をモチーフにしている。可愛いものが好きだがそれを身につけることが周りから忌避の視線を受ける事になると色人はよく知っている。まぁ元々色人は可愛いものが好きなだけであって自分を可愛く着飾りたいとは思っていないのだけれど。
「それともこれは趣味じゃないかしらね」
【立花さんみたいなロリババア大好きです!】
>>166
【時計台の上/明日葉 萌】
霜乃の最後の言葉を聞いた時、萌は小さく唸った。明日葉と呼ばれるのはあまり好きではないのだ。というよりも名前に深い思い入れがあるといった方が正しいかもしれないけれど。
「うーん…好条件なんですけど、私、苗字で呼ばれるのはあまり好きではないんです」
明日葉という苗字は自分を捨てた親が萌に唯一残したものだ。萌という名前は萌を育ててくれた神父が萌の事を考えながらつけてくれた名前だ。どちらに愛着が湧こうかなどと問われるまでもないだろう。
萌は少しだけ悩んだ。これを受ければ安全な寝床と確かな知識が手に入る。そうすれば萌は今よりも安定した生活を手に入れる事が出来るだろう。何よりもう一人きりで過ごさなくても済む。教会で多くのシスター・神父と暮らして来た萌にとって孤独は飢えの次に辛いことだった。
「だから、ごめんなさい。霜乃さんは私に色んなものをくれると思いますしこんな好条件は他にないと思うんですけど、そこは私にとって譲れないポイントなんです」
それでも萌はきっぱりと霜乃の誘いを断わった。馬鹿なことをしているのは百も承知だけれど、萌を愛し育ててくれた神父が残してくれたものを大事にしたかった。それだけが今はもう会いにいくこともできない神父へのただ一つの恩返しだと、そう思っている。
「霜乃さん、涼しげなお名前でよくお似合いですね。雪のようです」
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