二次なりきり掲示板
- Re: 『 トロイメライの隠し場所 』 -お知らせ- ( No.188 )
- 日時: 2015/08/11 10:11
- 名前: ナタノ (ID: S2/Ss8/E)
>>181
【寂れた公園/真谷 色人】
色人は立花の言葉に意外そうに目を見開いた。
「あら、女であるからには年を重ねても若々しく可愛くいたいのは当然の事だわ。それにハナさんは可愛らしくもあるけれど同時に大人びていてカッコいいわよ。
見た目は可愛いのに中身は大人びていてカッコいいなんて、一粒で二度美味しいっていうか、一石二鳥っていうか」
色人はそこでうまく自分の気持ちを表す言葉が出てこなくて腕を組んだ。しばらく悩んだが結局良い例えが出てこなくて見切り発車のまま言葉をつないでゆく。
「うーん。良い言葉がよく思いつかないけれど、普通の人が一つしか持ち合わせてない性質を二つも持ってるなんて素晴らしいと思うわ、私」
と、立花の頭に乗っていた花冠が立花の小さな手を通して色人の頭に乗せられた。手を離した立花は冗談なのか本気なのかよく分からない笑みを零しながら「とても可愛いわ」と言う。絶対に立花の方が似合っていると思うのだけれど、当の立花が可愛いと言ってくれたのは素直に嬉しくて色人はふふ、と小さな笑みを零した。
可愛い花冠も、愛らしいコサージュも、フリフリのエプロンドレスも。全部色人には似合わないものばかりだ。立花にとってその愛らしい外見は少しばかりのコンプレックスなのかも知れないが、色人はそれをとても素敵だと思う。もっと自分を愛せばいいのに。こんなにも素敵な人なのに自分に自信がないのはどうしてなのだろうか。
後悔していないと言いながらもどこか淋しげな笑みをこぼす立花の、周りと少し違うという気持ちは色人には痛いほど理解できた。男として生まれて来たのに、自分は周りとは違う言葉を、思いを持っている。それがどれだけの孤独か色人はよく知っている。どこに居ても誰ともうまく混じれない。誰にも自分を理解してもらえない。それは真っ暗な穴に一人きりで居るような酷い孤独と渇きをもたらす。
「本当の意味で誰にも理解されないっていうのは、もしかしたら飢える事よりも辛いことかも知れないわね。
ねぇハナさん。折角一回死んで生まれ直したんだから、今度は誰かを愛して愛される人生を送りましょうよ。世の中には愛がなければ見えないものがあるんですって」
色人は月を見上げる。昔くすんで見えていたその淡い銀色は、今は柔らかな暖かさを持って色人を包み込む。それは色人が世界を愛するようになったからなのだと思う。色人はブランコから腰を上げると、立花の正面に立つ。そして大きく手を広げた。澄んだ空気も涼やかな風も柔らかい月の光も、世界を愛するようになってから手に入れたものばかりだ。
「ハナさん。全部を理解するのは無理かも知れないけど、寂しくてたまらない夜は黙って身を寄せ会える家族になりましょうよ。折角同じ『真谷』に生まれ直したんだもの」
色人は立花の小さな体を用心深く抱きしめる。一度死んで生まれ直し時を止めてしまった堪らなく哀れで堪らなく愛らしい体に色人は愛を注ぐ。
>>182
(はい。大丈夫です!お相手ありがとうございました)
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