二次なりきり掲示板

Re: 『 トロイメライの隠し場所 』 -イベント予告- ( No.215 )
日時: 2015/08/14 11:35
名前: ナタノ (ID: PGIzakRo)


>>198

【寂れた公園/真谷 色人】

立花の体は細く頼りなかったが、それでも彼女には色人より長い年月を生きた重みをその体に宿していた。小さな手はまるで道に迷った迷子のように色人のベストの袖を掴んでいるのに、立花から放たれる言葉はどこまでも彼女の本心を押し隠しているように聞こえる。色人は彼女のプライドを傷付けてしまわないように頭を撫でそうになる手を強く押しとどめて、立花の背中を軽くさすった。
せっかく生まれ直したのだから、立花には楽しい人生を送って欲しいと色人は思う。立花が優しくて素敵な人だから彼女が報われればいいと、この世界にも愛はあるんだと知って欲しくてたまらない。

「どう?私がたくさんハナさんに愛を注いでみたんだけど、月の光は冷たいまま?風はハナさんの肌を刺す?」

本当は少し色人が羨ましいのだと、立花は言う。色人の相棒の事を言っているのだろうか。立花はあんなにも長く生きているのにもしかしたら誰にも愛された事が無いのかもしれなかった。一人きり生きていくことが口でいうよりもずっと悲しくてさみしいことだというのを色人は知っている。立花は一人きりの夜を何回超えて今ここに立っているのだろう。

「ハナさん。大好きよ。私、ハナさんのこと大好きなの。可愛くてかっこ良くてお姉さんみたいに頼りになるし、ハナさんのこと好きだわ、すごく」

色人は何度も好きを繰り返す。この悲しい人が一人きりで越えてきた長い夜に思いを馳せながら、彼女の世界が少しだけでも彼女に優しくなるように祈った。立花にはよく分かってほしかった。きっと立花が気付いていないだけで立花を愛する人はこの世にもっとたくさんいるのだということ。

「いいのよハナさん。こういう時に黙って寄り添える家族になりましょって言ったじゃないの。泣いてもいいし愚痴ってもいいのよ」

色人は頭に乗せられたままだった立花の花冠を立花の頭にかけてやる。あるべきところに収まった花冠を見て色人は目を細める。

「でも最後にはまた笑顔のハナさんが見たいわ。だってハナさんの笑った顔って本当にお花みたいで可愛いんだもの」