二次なりきり掲示板
- Re: 『 トロイメライの隠し場所 』 -イベント予告- ( No.235 )
- 日時: 2015/08/19 06:07
- 名前: 佐鳥 (ID: LuHX0g2z)
- 参照: 才蔵の才能→役に立たない情報収集のスペシャリスト。
>>230
【どこかへ向かう道の途中/真谷才蔵】
「ほんとー? まあ似合ってるっていうなら染めなくてもいいかなぁ?」
自分の子供っぽさや貧弱さを強調するこの容姿のことはあまり気に入ってはいない。その一部である自分の頭髪の色のことも。しかし褒められると悪い気がしないのも事実である。才蔵は賛辞を尽くしてくれる彼女の言葉を「ありがとね」で素直に受け止めることにした。ああでも、それを抜きにしても面白そうだからいつかは髪の毛を染めてみたい。暗い色や重々しい色でなくても良いからカラフルな色にしてみるのも良い。ああでも、それだと目立ってしまうかな。
それに、自分の色素の薄い茶髪が金髪に見えるらしいということは彼女に指摘されるまで知らなかったことであり、少なからず驚かされた。
「マジ? おれ、金髪っぽい? ははっ! 外人みたーい。えー、知らなかったぁ」
彼はどちらかというと外人ではなく人外だが。おかしそうにはしゃいで笑う才蔵のツボはやはりどこかずれている。それに今しがた自分で指摘したとおり、日中だって金髪の人間が目の前にいると言うのに。
「うん、お揃い……金髪同盟だね!」
まねをして自分の短い茶髪——月のある日限定太い髪の毛を摘まんでみせる。
(嬉しくない、なんて思わないけどな)
自虐的な金髪の彼女の台詞は才蔵の心に疑問を生んだ。いや、疑問を生んだと言いきればそれは間違いになる。それはきっと彼女の性格を表す口癖みたいなものなんじゃないかと才蔵は思った。出会った時から彼女はよく謝ったり、自分は個性のない顔だと自ら言ったり、どこか自分に攻撃的になる人間のような気がしている。
「そんなことないってー、嬉しいから!」
そんなセリフも特に気にしていないみたいにパタパタ横に手を振って笑う。
「うん。おれは才蔵! 結構れとろ?な名前でしょ。じいちゃんからもらった名前なんだぁー。才能は特にないけどー、走りは結構達者だよ!」
それは才蔵の姓が真谷ではなかった頃の話になる。実の父親や母親のことはあまり好きにはなれなかったけれど、家族の中で本当に心を開けたのはもしかしたら同じ名前をした祖父だけだったかもしれない。しわくちゃな口許が自分の名前を呼ぶたびに才蔵の心には陽だまりが生まれた。
元の親族の誰に似たのかもわからないこの顔立ちは好きじゃないけど、この名前だけは誇れる。世に名前こそなかったけれどあの人は一角の存在だ。もう、自分とは何の関係も無くなってしまったけれど。
祖父の顔を思い出して才蔵はその懐かしさに懐かしそうに静かな笑い声を洩らした。
「裏葉ちゃんって言うの? へえ、良い響きだぁ」
うらは。
その名前をした人間には未だに会ったことは無いけれど、その響きの可憐さは女の子らしくて、彼女に似合っていると思った。お姉さんなんて自ら呼んでおいてさも当然の様に「ちゃん」付けで呼んでいるのはこれまた才蔵の気まぐれで、裏葉はなんとなく「ちゃん」の方がしっくりくると思ったから。
「よろしくよろしくぅー。リンくん、頑張って見つけようね!」
差し出された右手を才蔵は意気揚々と握り返す。それは異常な冷たさに支配された死人の手で、脈打たぬ己の右手で。
【有難うございます! 真谷才蔵という名前は音が気に入っておりますw イベントはしばしお待ちくだされ〜】
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