二次なりきり掲示板
- 題名が入らねえよっ ( No.252 )
- 日時: 2015/08/25 23:10
- 名前: 佐鳥 (ID: LuHX0g2z)
>>247
【どこかへ向かう道の途中/真谷 才蔵】
「よっし、じゃあ今日からおれ達金髪同盟結成だぁー!」
裏葉が乗りよく金髪同盟を肯定してくれたので、才蔵は嬉しさ余って月に向かって伸びあがるように拳を突き上げ、才蔵は天真爛漫に白い歯を見せて笑った。
裏葉は優しくて寛容さがある。先程であった時から、優しそうとか、丁寧であるとか、そう言った印象をこちらに抱かせる。それに付け加え自虐とも取れるくらいに謙虚なのだ。金髪同盟なんて才蔵が言いだしても、大人しげに見えて結構乗りが良い反応を返してくれるし。
金髪で思い出した話だが、才蔵の身内にも艶のある金髪——正確にはブロンドと呼ぶべきだが——を持った吸血鬼がいる。それが靡く光景は何処か艶があって、才蔵は好きだ。その人の貌を思い浮かべながら、才蔵はまた考えた。
(桜花ちゃんがもしここに居たら、裏葉ちゃんのことどう思うかな。気に入るかなぁ?)
我が姉は可愛い女の子に大変に寛容なのである。
穏やかな顔付きで目を細める裏葉に、才蔵はその逆を表現するかのように目を丸くした。優しい、だなんてそんな不意を突いたような台詞を裏葉がつぶやいたわけが解らない。
「え? おれが……優しい?」
ああ、そう言えば自分が真谷才蔵でなかった頃にも、そんなことを言われたような気がする。そんなことを言ったのは中学の時の同級生か。虐められていたところに割って入った才蔵の上辺だけの優しい言葉に、あの子は涙を流していた。それを見ても自分の心は鉛のように重たく揺るがず、何も感じない。だから自分が嫌いだった。
けれども真谷才蔵になって見れば、その鉛の心は少しずつ人の心に変わって行っているようにも思える。着実に。
「……あっ! リンくん探し手伝ってること? 別にいいんだよー。こんな夜中に15,6の男の子が一人なんて方が危ないだろうし、それぐらいはするって! おれ暇人だし!」
手をパタパタと動かして才蔵は笑う。最後の情けない一言にも自分で言っておいて笑う。
才蔵に続き、自らの名前を繰り返した裏葉はなんだか恥ずかしそうだった。若いと言えど大人の女性相手に「ちゃん付け」は不味かっただろうかなんて繊細な問題を才蔵はあまり考えないのだ。
無礼なことに才蔵の言い方をするならば裏葉は可愛いとか、そんな雰囲気があった。例え特徴が金髪しかないような顔立ちをしていたとしても、彼女が元々持っている雰囲気を才蔵はそんな風に感じたのだ。だから「さん」ではなく「ちゃん」にしたのだ。
こんな風にして才蔵が名前にちゃん付けをしている女性はそこそこに居て、こんな風にかっとなった様子を見せる人も過去に何度か会ったことはある。特に何も考えないで気分で行動する才蔵にも、男心というものはあって、女の子のそう言った表情は“なんか好き”だった。
「うん、裏葉ちゃん」
だから思わず、くすりと笑って繰り返す。
「あー、確かに変わった名前だよねぇ、でもちゃんと名前っぽい感じするし『うらは』って響き、おれは好きだなぁ」
「うらは」という名前がどんな意味を持っているかはわからないし、彼女の親がどんな願いを込めてその名を与えたのかも知らないけれど、ただ第三者として感想を述べるなら、嫌いでは無く好きな名前なのだ。
(……人魚?)
どうして握手をしてそんな単語が出てくるのか才蔵には少しわかりかねるが、人外の種名を出されたところで心が思わず汗をかく。何の脈絡も無い状態でそんなことを言われたら、思わずどきりとするのだった。
それでも子供のようにコロコロと笑ってみる。
「人魚ってあの人魚? あははっ、面白いこと言うんだなぁ裏葉ちゃん。え、なんで……ええっと、え?」
裏葉の手は少しだけ力を込めて才蔵の手を握りしめた。少し骨ばった才蔵の手は優しい圧力を受けて、少しだけ強張る。その温度の温かさがまた優しさのあるものだから、思わず動揺して目が泳ぐ。
そっと手を放すと、裏葉はさっきの調子で振る舞い始めた。さっきのはなんだったのだろう? 幻でも見ていたような余韻を心に残しながらも、記憶からかき消すことにした。考えたって解らないことだから。
「おれはねー、ちょっと遅い外食してたんだぁ。それから……そうそう、お散歩もしてたよ」
今日は月が綺麗だからさぁ、何て付け足して才蔵は笑う。「立ち話もなんだから、歩く?」なんて提案をここで一つ。
「おれも質問あるんだけどー、リンくんってさ、裏葉ちゃんの弟ー?」
総合掲示板
小説投稿掲示板
イラスト投稿掲示板
過去ログ倉庫
その他掲示板
スポンサード リンク