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- Re: 【吸血鬼】『 トロイメライの隠し場所 』【研究部】 ( No.302 )
- 日時: 2015/09/13 10:01
- 名前: ナタノ (ID: UAMHtL4A)
>>279
【寂れた公園/真谷 色人】
目の前の小さな女性を見つめながら色人は遠い昔の過去に思いを馳せた。あの時渇望していたものが今はこの手の中にある。それは嬉しくもあったが同時にどこか途方もない悲しさも含んでいた。
これが色人があの夜窓から飛び出してきた結果なのだ。一度全てを投げ捨てて一から積み上げてきたものが立花や笑太郎、真谷家の家族たちだ。人生の途中から作り直したにしては随分素晴らしい家族が出来たと思う。これ以上望むものなどあるのだろうか。ふと見上げた月の光はやはり柔らかくて愛しかった。
「…ううん、無いわね」
色人は一人でぼそりとつぶやく。これ以上望むものなんてもうないのだと。人間であった時のことを思えばまだ時々胸は軋むように痛むけれど、それでも色人は今とても幸せで満たされている。
「わたしも色人が好きよ」
そろりと小さな指が色人の頬に添えられる。色人も立花もその体には熱を宿さない。まるで死人のように冷えきった皮膚を触れ合わせ、立花は微かに微笑んだ。胸の痛みに耐えるような少しだけ悲しそうな、顔。それでも微笑んでくれる。たまらなく優しいこの人の家族になれたことが嬉しい。
「それってとても光栄だわ」
色人は柔らかな藤色の瞳を細めて添えられた小さな手をとると、彼女の手の甲に恭しく小さなキスを落としたのだった。
(大遅刻申し訳ありません!!)
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