二次なりきり掲示板
- 【じわじわと】『 トロイメライの隠し場所 』【イベントの】 ( No.336 )
- 日時: 2015/09/19 15:44
- 名前: Dietrich (ID: xOYpbzCU)
【橘花小路/香坂 誉丸】
いやに気味の悪い風だった。
湿気を帯びたそれらは体にまとわりつくようにゆっくりと通り過ぎてゆき、街の片隅でとぐろを巻いていた。コンクリートで固められた地面をくすぐるように撫で、消え、また同じような風が頬を掠めてゆく。外に出なければよかったな、とそんな言葉が頭の中で現れ、消えた。口に出すほどのことではない事を冷静になって考えてみる。
香坂は先ほどの風が再び街角の行き止まりで消えゆくのを見届け、振り返って手荷物を抱え直した。少々買い過ぎた菓子を眺めて苦笑する。
久しぶりに三味線の稽古も休んで買い物に出てきたのが良いものの、月も雲も風もいまいちいいとは言えないこの夜に、いくら買い物帰りだからと言って胸が躍るはずもなく、湿った空気にため息を吐きだしながら、早く帰ってしまおうと自然と歩く速度を速めていく。からりからりと愛用している下駄が鳴り、着物の袖がどろりとした風になびく。
しかし、これが性質故のものと言うべきだろうか、ふと気付いた臭いに思わず顔が上がった。若いころの思い出と、今現在の思い出が合いまった苦い感覚がこみ上げるが、どうしても気になってしまいその場へと足を踏み入れた。
「……やはり、こんな日に出歩くべきではないな」
目の前に広がった惨劇は仕事以外では目にしたくないようなものだった。柔和な笑みに微かな苦みを入り混じらせて、香坂は苦笑した。
「お行儀はいいようだけど、後片付けはちゃんとしてもらわないとね」
これを一般人が見たらどうだろう。失神どころの話ではなくなりそうだ。まだこの近くに吸血鬼がいるだろうか。自分と言う存在——吸血鬼の存在を知り、必要に応じてそれを狩る——を知らないのであれば、知る由もないが、まだこの近くにいるのかもしれない。
本能的な好奇心により、香坂は周辺を歩き始める。すると、一番最初に目に入ったのは、後ろ姿からも美しい、黒髪の女性であった。声をかけようか一瞬迷った香坂は、半ば確信を抱いてその後ろ姿へと近づいて行った。
絡ませていただきました! 香坂をはじめて動かしたいと思いますっ。
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