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【深夜の公園/三宮裕次郎】

「ほう……なるほど、情報交換ですか。」
正直、これはしなくても良い提案だ。既にこちらは相手方の情報を十分なほど掴んでいる、これ以上深入りしなくても問題は無い。
むしろ吸血鬼を撃退し、貴重な赤月の戦力を失わなかっただけで十分である。加えて、情報交換にはデメリットもつきまとう。
こちらの知る情報を漏らしたくは無い、と言うのが一つ。それから相手方の情報が真偽不明であるというのが一つだ。

どうやら、相手方も必死になって手土産を探しているようだ。おそらく、その『姫』という吸血鬼に支配、統率されているのか。
だが、渋りすぎれば相手もこの休戦を破棄し、全員を殺してそれを手土産に、と言うこともありうる。
それを考えれば、情報交換をするほうが良いか。もっとも、ギリギリまで相手より上位の立場に立って。

「ふむ、そうですな……良いでしょう。ですが、今の状況ではどちらも何を言っても信じられないでしょう。
ここは一つ、確実性のある情報を交換いたしませんかな？例えば……各々の使う武器と、魔術。」
これは、確実性が無いと言ってもいい。どちらも嘘をつくことはできるし、逆に正直に言えば相手に一手譲ることになる。
だが相手が手土産を欲している今、互いに嘘をつくのはデメリットしかない。それに、たかがこれだけの情報、嘘をついても意味が無い。

「さて、どうしますかな？時は有限、されど戻る事は無し……。」
そう言い、微笑みを絶やさない。