二次なりきり掲示板

トロメラ ( No.387 )
日時: 2015/10/02 07:06
名前: 佐鳥 (ID: LuHX0g2z)
参照: http://ともかく流れに身を任せますか!

>>383

【どこかへ向かう道の途中/真谷才蔵】

「いやぁダメダメ。おれ結構わがままだし頭ヤバいほど悪いから世界が大変なことになるって」

優しい、という形容詞が胸の奥に突っかかって飲みこめないままになりながら、冗談を言うのと同じノリで才蔵はそう言ってヘラヘラ笑う。
裏葉の目に、才蔵という男はどんなふうに見えているのだろうか。穏やかだとか優しいとか、そんな言葉の似合う人間だと思われているような気がするけれど、周りが言うほど自分は頭の中を慈愛で一杯にした人間ではないと、そう思っている。
我ながら難儀な性格をしていると思うのは、周りから篤実な人間だと思われるたびに、そう評されるたびに、自分だけが知っている神経質さや臆病さ、それ故の子供染みた部分を外に出せなくなっていくことだった。それが誰かの心を傷付け、また裏切ることに才蔵自身が耐えられない。ただそんな自分を真谷の一族だけが受け入れた。
才蔵は裏葉の愛嬌の滴る優しい微笑みに気持ちを返すように笑う。裏葉はいつも何気なく笑う。裏も表も無いそれは女らしくて柔和なもので、それが何だか安心する。

「超おばあちゃん!!あはは、なにそれ!は、初めて聞いたよそんな言葉。
ふふ…でもそうだね、百歳まで生きるなら二十歳超えたくらいじゃまだまだ若いか」

才蔵の言葉に裏葉は楽しそうな笑い声をあげた。「え、超おばあちゃん面白い?」と半ば彼女につられるように笑いながら才蔵は問い返す。ウケを狙ったつもりで言ったわけではなかったから少し胆を抜かれたような、でも相手が自分の言葉を馬鹿にせず笑ってくれるとそれはそれでこちらも気分が良いから構わないし、むしろ嬉しいのだけれど。

「若い若い、人生まだ始まってないくらいに若いよ二十歳は。とか言っておれも二十歳なんだけどね」

正確には二十歳と2,3年程度なのだが。そう言えば裏葉はいくつなのだろう。自分と同い年程度かその前後と言った風な顔立ちをしているが、聞いていないから真偽は定かではなく、でも話し方や雰囲気はまだまだ若さがある。
しかし二十歳を過ぎてその程度で結婚する人が多いなんて知らなかった才蔵は裏葉に告げられる事実に驚きを隠せず目をぱちくりさせ「やばいね、驚きすぎる」と先程からの調子で貧しいボキャブラリーを晒す。でもよくよく考えてみたら才蔵自身の親も結婚は割かし早い方だったような気がしなくもない。

幼馴染となった裏葉は屈託なく、才蔵にとってはとても困った質問をしてきた。好きな食べ物について問われてしまった。
はっきり言って今は吸血鬼となった自分に普通の人間と同じように料理を口にすると言う食事方法は意味を成さない。ただ、嗜好品として楽しむ程度の面白さがある程度でどれだけものを食べたところで満腹感は得られない。「えっとー」なんて言って時間を稼ぎつつもその目は右に左に泳ぐ。何と答えればいいことか。誤魔化す答えを考えているのがそのせいであからさまになっているが、そんなことは気にせず、才蔵は思いついたように言った。

「飴かな! はちみつレモンとかの!」

才蔵のポケットにはよくカラフルな紙に包まれたキャンディが入っていることが多い。才蔵を気に入ってくれている兄や姉が分けてくれたり、当主がいつの間にか気紛れにポケットに忍ばせてくれていたりとキャンディには結構縁がある。最初に飴をくれたのは当主だった。
彼には何も言っていなかったと思うけれど、それは幼少期、才蔵がよく祖母からもらっていた飴と同じものだった。何処から買ってきているのかはわからないが、それはなんとなく偶然では無いような気がしている。彼は吸血鬼である以前に不思議な所があるから。

「他にもイチゴとかメロンとかフルーツ系も好きなんだけどー、じゅわーってくるサイダーみたいなのも最近あるじゃん? あれも好きなんだぁー」

からころと舌の上で転がしては噛み砕いてしまう。味を楽しむよりもそちらの方がメインの楽しみだったりする。

「裏葉ちゃんは飴だったらどんなのが好き?」