二次なりきり掲示板
- Re: 【じわじわと】『 トロイメライの隠し場所 』【イベントの】 ( No.392 )
- 日時: 2015/10/04 18:04
- 名前: フレア (ID: xbduus1y)
>>391【赤月本部/ヴェノーレ=ファルファッラ】
「っ....!」
振り払われることなんてわかっていた。だからこそ身構えていたのだけれど、それでもやはり怖くて思わず上ずった声を出してしまう。行き場の失った手を少し見れば、すぐに後ろに回してもう片方の手で握りしめる。あぁ、柄じゃないことなんてわかっているのだ。今の行動が相手の機嫌を余計損ねたことも、それをしているのが自分だということも、嫌なほどわかっているのだけれど。今更やめることなんてできやしない。
ヒュッと上脇の言葉に息を詰まらせる。違う、企んでいるわけではない。怖いことなんて百も承知だし、言いたいこともたくさんある。そう言いたいのに口から言葉は出てこなくて、口をパクパクさせながら空気を求めるようなその行動は金魚のようだ。まじかで見ている上脇にとってはさぞ滑稽だろう。
「ぼく、あなたのこと、おこらせたいわけじゃ、ないんです。」
やっと声が出た。そう思いながらも一区切り一区切り怖さを押さえ込みながら言うその言葉は、きっと彼にとっては言い訳にしかならないのだろう。それでも、ありのままの気持ちを言いたかった。今更なんでこんなことを思うのかも、どうしてこんなことをしているのかも関係ない。ただ己に忠実に、その心に嘘偽りなく。
「ごめん、なさい」と、こちらを見る上脇の視線を受け止めて謝る。
「ゆるしてもらえなくて、いいですから」震える声でそんなことを言っても信じてもらえないかもしれないけど。
「ぼくのこと、わすれてください」こんな生意気な子供のことなんて、その記憶から抹消してください。
ぼやく視界を誤魔化しながら一歩後ろに下がり、視線を下へと向けるときに一瞬先ほど掴んだ上脇の腕が見えた。なんでおこがましいことをしたのだろうかと、心の中で自嘲にも似た笑みを浮かべる。「人殺しの娘」が触ってはいけないような、血にまみれていないであろう光サイドの人に触れてしまった。それはヴェノにとって自分の中の掟に反することであり、自分がどちら側かを改めてわからせることだ。
(所詮、やっていることは吸血鬼たちと同じなんだよね。)
それが自分以外の人間も同様とは思わない。しかし己は吸血鬼と同レベル、否それ以下だと思っている。あいつ等は食事のために人を殺し、自分は自分のために人外を殺す。それがひどく滑稽で、所詮自分は弱者なのだと思い知る。
そしてそれと一緒に、自分は死んでも闇サイドなのだと実感する。光に憧れ、手を伸ばし、届かないから暴れまわる無力な弱者。ほら、自分にぴったりではないか。
「ふれて、ごめんなさい。きぶんをわるくして、ごめんなさい。なんどあやまっても、ゆるされないんでしょうけど。」
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