二次なりきり掲示板
- Re: 【お知らせ】『 トロイメライの隠し場所 』【>>406】 ( No.408 )
- 日時: 2015/10/15 17:44
- 名前: フレア (ID: nLPrrFyW)
=>399【赤月本部/ヴェノーレ=ファルファッラ】
ピクリと、耳に届いた言葉に反応して顔を上げる。目尻に涙を浮かべながらも、真っ直ぐと上脇を捉えるその目に宿るのは恐怖か悲しみか。
「可哀そう」と、そう最後に言われたのはいつだったかと考えるヴェノは、結局回答に行き着くことはできなかった。言われたことがなかったのか、はたまたそれほど幼い頃に言われたきりだったのかは分からないけれど、今目の前の男には自分は可哀そうに見えている。その事実だけで途方もない無力感に襲われた。
震えて今にも座り込みそうな足に力を入れて、苦笑を上脇に向けるヴェノの心境はこの短時間で目まぐるしく変化していた。もちろん、いい方向にだ。
「僕、可哀そうに見えるんですかね」
ハハッと乾いた笑い声を出したヴェノは、目尻の涙を拭ってその視線をそらす。回答なんて求めてはいないのだろうその行動は、今になっては気まずくて視線を合わせにくい子供にしか見えなかった。
「ええ。言いたいことはそれだけです」と、上脇の言葉にそう返事をすればその表情を見て思わず笑みをこぼす。ついには馬鹿にするような笑みさえ浮かべてくれなくなった彼と、きっとこの先関わることはないのだろう。せっかく話せたのにな、なんて柄にもないことを思いながらも零したその笑みに浮かんだものは悲しみであろう。
「はい、分かりました...あの隊長が、僕みたいな下っ端に大事な案件を話すとは考えにくいですけどね。力ずくでも聴き出しますよ」
ヴェノならば本気でやりかねないことを言いながらも、屈んだ上脇を不思議そうに目で追う。一体どうしたんだろうと、そう思っていた矢先に囁かれたその言葉に思わず息を飲んだのは仕方がないことだ。まさか彼の口からそんな言葉が聞けるとは思っていなかったし、この場しのぎの言葉であってもとても嬉しいものだった。
一度顔を下げれば、ゆっくりと上げて上脇を見つめる。少しの間の後に嬉しそうな笑みを浮かべれば、声が出るようになった口から感謝の言葉を述べるのだった。
「ありがとう、ございます。」
【注意事項及び新組織の件了解致しました!】
総合掲示板
小説投稿掲示板
イラスト投稿掲示板
過去ログ倉庫
その他掲示板
スポンサード リンク