二次なりきり掲示板

Re: 『 トロイメライの隠し場所 』 -本編解禁- ( No.62 )
日時: 2015/08/03 22:11
名前: フレア (ID: wJNgr93.)

【町の時計台にて/霜乃】

月が綺麗だ、人間の時に教えられた遠回しな告白セリフとおなじことをつぶやいて、アルプ・トラウムの副リーダーである吸血鬼の女は空を仰いだ。
静かな夜、静寂に包まれた町をここから見下ろすのは彼女の日課になっていた。誰もいない、誰もこないこの場所は心安らげる場所の一つであり、暑苦しいローブを脱げる場所でもある。

解かれている黒髪が風に揺れ、それを鬱陶しそうに抑えるその姿はどこからどう見ても普通の人間の女だった。

「今日も、疲れたな...」

月に手を伸ばすが、届かぬことがわかっているためすぐに下ろす。アレに手が届けば、目的の物なんてすぐに見つかりそうなのに。
吸血鬼になったら、子供の頃に夢見ていた月に触れることができるかもしれない、何て思っていたのは血を吸われて自分の中の何かが変わってから数秒程度だった。子供の頃から物分かりは良すぎたのだ、そんな願いが無駄なことも重々分かっていた。

立ち上がればカツンカツンとビールを鳴らす。反響する音が心地よくて、そのまま歌でも歌おうかと考えたが人間にバレれば面倒なのでやめておいた。月明かりに照らされる吸血鬼の女の横顔には、多少の悲しみと呆れが入り混じった表情が浮かんでいる。


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【町の公園内にて/雨乃宮】

「ッち、血が足りねェ」

頭を掻く男は一人、公園にあるゴミ箱を蹴ってイラついた口調でそう吐き捨てる。時刻は1時を回ったぐらいだろうか、町は一部を除いて静まっているためその音はかなり響いた。

お腹がすいて街に出てきたのが約2時間前、“血”を求めて彷徨っていたが何
せ美食家だ。おいしくない匂いがするものなんて吸う気にもならなかったため、未だに餌にありつけていない。
このままでは餓死してしまう、いやそれはねェーか。なんていう一人ボケ突っ込みみたいなことを脳内でするほどには空腹であった。
若い女の、それも香水やら化粧品やらをやたらめったら使わない奴の血が飲みたい、なんてワガママを言えば怒られるのだろうが言えずにはいられない。不味いものは口にしたくないのだ、そんなの誰だって同じだろう。

「あァー...空腹が紛れることねェーかなァー」

ドサッとベンチに座れば、苛立ちを含んだ声音でそういい空を見上げる。皮肉にしか見えない黄色い月が、どうも今日は男の気分を害した。



【絡み分を置かせておいてもらおうと思いますっ。誰か絡んでくれるお方がいらっしゃれば..っ】