「……はいはい、そうですねそういうことにしときましょうか」 耳をふさぐようなしぐさを見せながら気だるげにそう呟く。相手に聞かせるつもりはなく、この距離では聞こえないほどの声だった。 さすがに此処で抜刀する気もないが、苛立ちは募る一方である。傘を向けられてはいたが気にもせずに歩きだしていた。「どっちでもいいが一般人だけは巻き込むなよ。余計罪が重くなるぞ」 卑屈に笑ってそう言い、地面をけって走り出す。
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