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>>12

祭りの喧騒が遠い。今まで大勢の中にいたせいか、僅かな静寂でも気まずさを覚えてしまう。というのも、見知らぬ先客の青年と微妙な距離を保ったまま二人きりだという状況があるからで、一人ならこんな気まずさはなかったはずだ。
……やっぱり場所、変えようかな。向こうも気まずいだろうし。竹刀袋を担ぎ直して、踵を返そうとして気まぐれもう一度椅子に座る青年に視線をやる。……って、あれ。なぜだろう、すごく見られてる。

「…………、……、あの、何か？」

同級生曰く目力がすごいらしい自身の目を怪訝そうに細めて、抑揚のない声で問うた。今初めてきちんと顔を見たが見覚えはない。どこかで二言三言言葉を交わしたことがあるのかもしれないが、そんな細かいこといちいち覚えいるはずがなくて。一層疑惑の色を濃くして浴衣姿の青年を見た。