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>>14

……そんなに慌てさせるほど私は凄んでいただろうか。りんご飴まで地面に落っことした青年の慌て様に、なんだかこちらも悪いことをしたような気になってくる。
…いや、私は何もしていない。ただ、声をかけただけよ。そう自分に言い聞かせて。りんご飴のことは申し訳なく思うけれど、やはりこのまま帰らせてもらおう。

ーー『…六花』

時間が止まったようだった。もしくは、未経験ではあるけれどきっと走馬灯のような、頭に色んなものが流れ込む感覚。六花、それは夢の中での私…のような誰かの名前だ。夢は記憶の整理とよく聞く。でも私の夢は記憶の整理というには未知のものが多くて、妙なリアリティーと少しの懐かしさで構成されていた。そんなおかしな夢によく出てくる男がいるのだが、……よく見ると目の前の青年は、その男にそっくりだということに気付く。偶然にしては出来すぎじゃないか。

「……あの、あなた、どこかで会ったこととか、ありましたっけ」