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【大通りの路地裏にて/スタンリー＝ボールドウィン】



自らが身を潜める住居へ足を運ぶことすら面倒臭いと感じてしまう。背中と後頭部に固い感触を感じながら厚い瞼を開いてみれば、そこには建物に切り取られて広大さを失った雲一つない青空があり、スタンリーは昨日、自分がこの道の端っこで眠りについたのだということを思い出した。何故、そうなるに至ったのかの胸糞の悪いその理由も同時に脳裏に蘇ったが。

のっそりと体を起こしてみれば、体のあちこちに痛みが走って思わず眉間にしわがよる。まるで老人にでもなった気分だった。

（取り敢えず、こんなとこ居てもしょうがない……やだけど歩こう。帰って寝るんだ……）

スタンリーは重い腰を持ち上げて、何処かへ向かって歩き出そうとした。しかし、そこで何かが足りないことに気が付いた。我が体の一部とも言える相棒白い毛玉が見当たらないじゃないか。

スタンリーは大きくため息を吐いた。これから歩くという面倒極まりない行為をする前に、自分の相棒を探すと言う重労働をこなさなければならないなんて、最悪だ。もうこれ以上体を疲れさせたくないのに。

くたびれた様子のスタンリーはとにもかくにも歩くことにした。ところどころ服に土をこびりつかせて歩く男を、人は時折目に捕えては声を潜めて何かを言う。

スタンリー＝Ｈ＝ボールドウィン。
シチーリアの情報屋だ。