二次なりきり掲示板
- Re: 【長文/開幕】さよなら世界【募集中】 ( No.59 )
- 日時: 2015/10/05 18:07
- 名前: 佐鳥 (ID: LuHX0g2z)
>>56
スタンリーはこの男の顔を、今日初めて出会う前に一度だけ見たことがあった。それは新聞の上に載せられたモノクロの写真。その精悍な眸がウルトラマリンでもはめ込んだような明るい青色をしていることは此処で初めて分かる。猫を楽しそうに撫で擦るくらいだから動物に構うのが好きなのかな、人は見た目によらないな。なんて考える。
隙だらけでヘタに立ち回る下っ端警察ならまだよかった。しかし彼はすんたりーが苦手とするヒエラルキーの一番上に属する警察総合指揮官殿。スタンリーらしく表すならば警察王国に君臨した有能な王である。その王国のお尋ね者たる闇社会の住人としては彼の部下にひっ捕らえられて打ち首になる事態だけは避けたい。というかそうやって表の道を生きていない者達は皆そうなのだろう。闇医者も、密売人も、暗殺者も、マフィアも。
(だからと言ってこれをピンチと受け取るのは、おれには少し早いんだよね)
スタンリーは他人に対して閉鎖的ながらも、それでも他者の個人情報に関しては貪欲だった。だって情報屋に休みなんてものは無い。いつでもどこでも何処かから入ってくる情報を自分の物にしてストックを溜めて行くのが普段するべき仕事だから。情報をいち早くつかむこと、更に可能ならば情報を自分の意のままに操作できるようになること。
だとしたら、この出会いは自分の働き次第では好奇と変わるはずではないか。
しゃがみ込んで足元に寄ってきた相棒の白い毛並みを手の甲でつやつやと撫でることに目線を集中させながら、スタンリーはロベルトに聞かれたことに答えた。
間近に見る彼の迫力は凄い。いつか自分が身を置いていたサーカス団のスターだった青年とはまた別の、気圧される様な雰囲気。覇気に溢れているとでもいうべきか。そう言う人間を目の前にした時、スタンリーは相手の顔を見ない。そのオーラに呑み込まれてまるで自分の存在が潰れてしまいそうな気がして何となく苦手で目を逸らしたくなるのだ。きっと自分なら彼に向けられた殺気だけで死ぬだろう。そう思う。
質問をし返しておきながら、スタンリーはその問いに「ふーん、確かにそうだね」と大して面白味のない返事をする。対して何も考えず適当な返事になってしまったがこれは本当に確かに、妙な人間は増えているなと頭の隅で考える。シチーリアという国は元々治安が良いとは言えない。
さて、此処からどうやってこの人の——何か面白いネタを引き出そうかとスタンリーは頭の中で考えたが、その思考は相手の言葉によって切れた。これはちょっとヤバいかもしれない。どういう訳かロベルトが何処から出したのかカップケーキをこちらに渡し、自分に付き合わないかと言う。
「遠慮……俺、帰りたい」
そう言うのもつかの間、この男にすっかりペースを持って行かれてしまって現在、スタンリーは大通りへと逆戻りしたのである。警察総合指揮官の大男と二人、甘味を手にして道を行く。この様な事態を人生のどの時点で想定できたことだろう。後ろには相変わらず何の苦労も無さ気なクレオパトラが軽い足取りでついてくる。
頭の中には嫌な予感ばかりが渦巻いていた。出会って間もない筈なのにどういう訳か自分は尋問されそうなのである。何故か。しばらくして嫌な予感は当たった。出来るだけ阿呆を装うことにしようか。
スタンリーは出来るだけ視線を合わすまいと前を見据えたまま、
「……バンかけされるのこれで2回目だ」
貰ったカップケーキを小さくむさぼり、ぽつりと力なくつぶやき、がっかりしたようにため息をついた。ちなみに本当のことである。
「なんか、猫が好きそうなところ行けば見つかるかと思ったからあの路地入っただけだよ。この格好は別に……地面で寝てればこうなる」
【微妙なところで返してしまいスミマセン;; そして遅れてスミマセンでしたm(__)m
それじゃあ空さん、改めてよろしくお願いします!!】
総合掲示板
小説投稿掲示板
イラスト投稿掲示板
過去ログ倉庫
その他掲示板
スポンサード リンク