二次なりきり掲示板

Re: 【長文/開幕】さよなら世界【募集中】 ( No.61 )
日時: 2015/10/10 19:23
名前: 佐鳥 (ID: LuHX0g2z)
参照: http://すたんりー(とてもやばい……)

>>60
 食べた瞬間に口の中に広がる甘味は、お菓子特有のくどみが無く、軽くさっぱりとしていて確かに美味しかった。インスタントラーメンばかりで味覚が鈍っているかと自分でも思っていたけれど案外にもそうではなかったらしく、マフィンに対して賛辞を述べるロベルトの意見には共感できた。こくりと頷きそれを肯定した。
 スタンリーは手に持ったマフィンとロベルトを交互に見比べた。自分よりも高い位置にある彼の顔はマフィンを頬張ると、幸せそうな顔をする。面白い。自分よりもはるかに体格のいい男がこのような可愛い食べ物を好んでいるとは似合わなくて面白い。出会った手前、そんなことを言うつもりはないから言わないけれど、どうにも人は見た目に寄らないというのは事実らしい。

確かに土埃塗れの地面で眠って汚らしい恰好をしているのは自覚していた。しかし、それの何が問題なのだろう。服なんてしゃれっ気が無くても礼儀正しさが無くても、着られればそれで問題はないだろう。そんな風に考えるスタンリーの自分の見た目に対する無頓着ぶりはきっと大人とは呼ばれない。
相変わらずスタンリーは、ロベルトの視線から逃げるように目線だけを動かして遠くの方を見ながら答えた。

「……まあ、そうだよね。個人的には心外だけど」

はあ、と疲れた様にため息をつくスタンリーはまたマフィンを頬張った。ちまちまと食べるせいでマフィンは一向に減っていく気配を見せないままだ。しかし、隣を歩く警察は相手を避けようとするスタンリーの目を逃がしてくれなかった。唐突に視線が絡み合ったことにスタンリーは驚いてびくっと肩を跳ねさせ、また視線を右や左に動かすと、答えた。

「えっと……知ってる。貴方のことどっかで見たことある気がするから。名前もどっかで聞いたことある……様な気がする。……名前は、スタンリー」

スタンリーは仕事をする時に名前を偽らない。こうして直接的に相手に名前を名乗る時、偽名を使うことはしないのだ。それは或る意味、自分のことを偽ることで相手にこちらを詮索させるのを防ぐためでもあった。しかし、今はそれは逆効果のような気がしてならない。