二次なりきり掲示板

Re: 【長文/開幕】さよなら世界【募集中】 ( No.65 )
日時: 2015/10/15 13:56
名前: 佐鳥 (ID: LuHX0g2z)

>>63



面白いことを言ったつもりはないけれど、ロベルトはおかしそうに闊達に笑った。今の何処が笑いどころだったのか理解できないスタンリーは、唐突の新鮮な反応に何が面白いの? とでも言いたげに怪訝そうな顔をした。
妙なものに捕まってしまったなあ、チンピラに絡まれて気を失うし起きたら起きたでクレオパトラが蒸発してるし、見つけたと思ったら今度は警察総合指揮官に遭遇して職務質問を食らう。無闇に部屋の外へ出たら面倒事に巻き込まれると解っているのに、何で外食なんて思いついたのか、変なことを思いついた昨日の自分に殺意が湧く。
ネガティヴな方向に悩み始めるとキリの無いスタンリーは隣にいるロベルトのことも構わずため息をつく。こうすると重く固くなってしまった気分が幾分か和らいでくれるのだ。

 急に目を覗き込まれて、体に緊張が走ったのは演技でも何でもなく、スタンリーのもともともっている神経質さのせいである。でもどぎまぎと、うろ覚えの人物かのようにロベルトのことを語るけれど、何処かで見たことがあるもなにも、この街を食い荒らすマフィアの一派を追い詰めたロベルトの名をスタンリーが知らない訳がない。要注意人物。脅威の存在。恐れの対象。と、同時に情報屋にとっては客を釣る材料としては格好である。

『スタンリーね、よろしく。そうか、何処かで聞いたことある、か。…いや、なんというか、新鮮だな…。というか私の自惚れか。存外私のことなど知られていないのだなぁ…』

気恥ずかしそうに頬を掻く男を見て、フォローするみたいにスタンリーは首を横に振った。

「ううん、多分あなたのことをよく知らないのは俺ぐらいなんじゃない?」

そう言ってスタンリーは指をさす代わりに右に、左に視線を向ける。行き交う人々の視線が時折此方を向いては突き刺さるのが先程から伝わってくる。好奇を含む眼差しが向けられているのはきっとこのシチーリアのヒーロー、ロベルトである。間違っても隣にいる飼い猫の方が立派な毛並みをしたみすぼらしい男ではないと、スタンリーは信じて疑わなかった。

「……周りが知ってること、俺は知らないってよくあることだから」

なんて変わらぬ調子で言ってみても、それは実際とは少し違う。
恥ずかしさを誤魔化す様に話題を逸らすロベルトは、マフィンを食べていたのにもかかわらずまだ何か食べようと思っているらしく、うまい店は無いかと聞いてきた。普段は即席物ばかり食べているおかげで全く外に出て食べないスタンリーは、地区情報にはあまり詳しくない。しかし、偶然通りかかったところにあった美味しい店だったら少しは覚えていた。ある仕事の一件で関わったマフィアを追っていた時に見つけたものだったが、外装が結構好みだったので記憶できた。名前は忘れたけれど外装さえ変わっていなければわかる。

「ちょっと歩くと思うんだけど……」

最後まで言わないがそこには「それでもいいか」という続きが含まれている。
確かちょうどこの道を行った先、其処を曲がった通りを行けばあったと、思う。