二次なりきり掲示板

Re: 【長文/開幕】さよなら世界【募集中】 ( No.67 )
日時: 2015/10/22 13:23
名前: 佐鳥 (ID: LuHX0g2z)
参照: スタンリー@閉鎖空間(じぃー…)


 気恥ずかしげに、その感情を誤魔化しているみたいな笑い声が聞こえると、ロベルトはサービス精神か元々愛想がいいのか、周りに挨拶を振り撒いた。その様子をスタンリーのまだ眠り足りないとでも主張したげなグレーの眸は冷静に、しかしじっとりと観察していた。ロベルト=アルジェントはスタンリーの予想と人物像が大分ぶれていることが分かった。
 なんというか、簡単に言えばもっと偉そうな口ばかりのおっさんかと思っていた。見た目の老け具合からするとおそらく四十代程度。そのぐらいの年になるとこう言ったお偉い立場の人間と言う者は精神的に図太くなるものだと勝手に思っていたが、どうにも様子を見る限り違う。身のこなしや浮かべる表情は若々しさが垣間見え、されどももともと持っている雰囲気は流石それぐらいに生きた人間だ。とても落ち着き払っていてる。立場も相まってどこかのチンピラ程度じゃ太刀打ちできない威厳がある。
 偉そうなおっさんなら大抵周りを侮っていてつけ入るすきの一つや二つはありそうなものだけれど、彼の場合は違うみたいだ。
 
 この人では遊べない。下手をすると自分の身が危うくなるもの。無理や欲張りなんて面倒くさいことをして身を滅ぼすのは趣味じゃない。けれどもこれもビジネスだ。彼と関わっておくことでもしかしたら今日スタンリーはとてつもない収穫を得ることになるかもしれない。
 苦々しく礼を言うロベルトにスタンリーは「別に……」とまたピリオドまでたどり着くことの無いしょっぱい返事を返してしまう。別に構わないという意味合いと伝わらずに周りの反感を買う事は数知れず。

『なんだか君は周りが知らない様な事を多く知っていそうだなぁ』

 ああ、察しの良い奴。もはやこいつ、もう俺の正体に気付いているんじゃないのか。
 浅黒い眉間に皺を寄せて、スタンリーは不満げにロベルトを見た。相手のことは勘ぐるくせにスタンリーはこう、靴も脱がずに心の中に入ってくる客があまり得意ではないのだ。しかし、相手も警察だ。疑いをかけることだって厄介極まりないが仕事だし大得意なのだろう。多くの人間と出会ってきたに違いない。経験値が底知れない。

「……別に」

 呟くような短い一言はとても頑なだけどとても小さく、しかし食いつく勢いのロベルトに背中を叩かれると自分でも驚くぐらいに大きな声が出て、重たい瞼に隠れた眸は全開になった。少し丸まりがちだった背筋はピンと伸びて反り返るくらいで叩かれたところを反射的に手がさすっていた。吃驚した。

「ちょっと歩けば……あるんだよ……いったぁ……」

ぽつりぽつりとした口調は少しだけ早まって、心底痛そうに眉間に皺を刻みロベルトを見る。不満げながらもスタンリーは珍しく自分から話題を振った。

「……力、強いんだね」



【なんというかロベルトさんが可愛すぎて辛い私です……b】