二次なりきり掲示板

Re: 【長文/開幕】さよなら世界【募集中】 ( No.69 )
日時: 2015/11/06 15:59
名前: 佐鳥 (ID: zflF3NFd)



『まぁ、警察だしなぁ。』

 脆弱なスタンリーには重さのある一撃も、そう言えば当然のことなのかもしれない。体を張ってシチーリアを駆けまわる警察と言う職務は体力が肝だろう。軟弱な奴に勤まるものではない。ロベルトのように権威ある立場の人間ならばもしかするとそれでもいいのかもしれないが……

 スタンリーは歩いているうちにいつの間にやらロベルトの顔を見る様になった。笑ったりはにかんだり微笑んだり、温みのある表情を良く浮かべているけれど、初めて顔を合わせた時、スタンリーという怪しい鼠を見つけた時の冷える様な鋭い目つきは研ぎに研ぎ澄まされていた。何かいけないことをしているような気分になって目を逸らしたくなるような警察官の不気味な目。警察としての職務に彼はきっと怠りを知らない。厄介な奴なんだと解る。

そうこうしていれば彼はスタンリーが初めて自分のことを問うたことを微笑ましげにした。
聞いてもないのに自分語りが始った、とか白けた若者らしい冷たさを心の中だけで発揮するスタンリーはそれでも彼の話を何でもない普通のことの様に聞いていた。そのしみじみとした様子は彼の漂わせる若々しさとは相反して見える。やっぱこの人おっさんなんだなと。

彼の語る人生にはそこかしこに「ありきたり」という言葉が付属していた。幼き頃に悪を退治する警察と言う職業に出会ったこと、その人に影響を受けて警察を目指したこと、夢をかなえまじめに職務を全うしていたこと。されども彼が語るとどうも荒波を乗り切った人生のように聞こえて仕方がないのは何故なのか。「ふうん」とか「すごいね」とか素気ない相槌ばかり打ちながらもスタンリーはその話を最後まで聞いていた。
スタンリーは不意に言う。

「大変だよね、マフィアの駆除ってのは」

他人事風に言ったこの言葉は本心だった。もちろんほとんどマフィアの鐘で飯を食っているスタンリーはマフィアを恨んでいるわけでも愛しているわけでも何でもないけれど、例えば自分がこの警察と言う立場だったとしたらどうだろう。連帯行動が必須となる組織で働くことなんてまっぴらごめんだが、マフィアと戦わなければいけないなら自分は間違いなく殺されているから、それをしている警察は並々ならない者達だろうとか、思ってみたりする。だからって金が出ないなら感化も味方もできないが。

小さな手、と言われたスタンリーは少しムッとした様に無言でまた額にしわを寄せ、眉目を吊り上げた。自分に拘りはないけれど、ロベルトは決して陰気に嫌味を言った訳ではないのだろうし凄く嫌だとも思わないけれども、なんか癪だ。小さな手なんて女々しいではないか。
貰ったマフィンの大きな欠片を無理やりにでも口の中に押し込み自らの黒い手を目いっぱいに広げてみる。
まるで骨と皮しかないみたいな痩せた指が手から生えていてどうにも貧相。スタンリーは諦めて笑うロベルトの隣で溜め息をついた。

もう一度顔をあげると、数メートル先に深緑のボードの建てられた黒板が見えた。十字路の角に建てられた新しいカフェだが其方ではない。その店を曲って4件目に在る方に連れて行ってみよう。

「……あの角曲るよ」

そう思いスタンリーは進路を告げた。


【こちらも遅れてすみません; いやー、ロベルトさんとスタンリーだったらマジで親子だったとしても年齢差的にはいけるかと(( 
 天界属性なロベルトさん!!】