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柚雨ちゃん【>>70】

「なんでって…犯罪者さんを逃がしちゃダメだからダヨー」
自分で言っても自分で呆れる。ひどい棒読みだ。嘘を吐くのが上手すぎるのはどうかと思うが、下手すぎるのもどうなのだろう。全力戦闘モードに入っているときならもう少しうまくできるだろうが、相手が兄だと分かったときからスイッチはきれている。もう一度入れようにも残念ながら兄に対して全力で向かっていけるほど絢音は戦闘慣れしていない。それでもこの人が敵なのは変わらず。めんどくさい状況になったなぁ、と他人事のようにぼんやりと考える。
「ほんとに他人事ならいいのになぁ…」
ほぼ無意識に呟いて溜め息をついた。想像していた兄とは正直違いすぎるのだ、この人は。もっと優しい人を想像してたのに。