二次なりきり掲示板

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【中文】It becomes one story【イベント】
日時: 2015/07/19 00:59
名前: 緋織 ◆S2QRgg5fs2 (ID: xV3zxjLd)
参照: http://名前変えました、ひおり、と申します!


これは書物に記された、遠い遠い世界の物語。

昔、その世界には三つの国がありました。
光の国と影の国は争いを繰り返していましたが、六年前に全ての元凶となっていた悪魔を倒したことでその世界は平和を取り戻しました。

光と影は条約を結び、中立の国もその役目を終えて、人々は自由に国を行き交い毎日を笑顔で過ごしていました。


しかし、七回目の終戦記念日を迎える前日、世界を再び脅威が襲いました。
中立の国を突然襲撃した謎の六人は圧倒的な力を持ち、たった二日で中立の国を滅ぼしてしまったのです。

光の国と影の国は助けを求め逃げてきた中立の国の国民達をそれぞれ迎え入れ、すぐに会談を開きました。
かつて敵対していた二つの国は手を取り合い、新たな敵と共に戦う事を決めたのです。


そのまま廃都と化した中立の国の城内に留まる古の魔法の使い手達は一体何者なのか、何が目的なのか…

今回の物語はここから始まります。







元ライです。
初めましての方は初めまして!
ライを知っている人はお久しぶりです。
勉強もひと段落したので前スレをリメイクしたいと思います。
またリメイクにあたって友人がかなりお手伝いをしてくれました、本当にありがとうございます。感謝感謝です…!

基本、緋織が管理していますが状況により一時的に共同管理をお願いすることもあります。


この物語はスレ主が昔立てた【一つの世界の三つの話】というスレの六年後のお話です。
それに基づく設定にはなっていますが、もちろん新規の方も大歓迎です!

今回はドッペル無しの中文スレとなっています。
詳しくは注意書きをお読み下さい。





【↓必読です】

世界観と注意書き >>1
役職と参加者一覧 >>2
参加用紙 >>3


【舞踏会イベント発生中!!】
>>293

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Re: 【中文】It becomes one story【募集中】 ( No.120 )
日時: 2015/03/24 13:32
名前: 緋織 ◆S2QRgg5fs2 (ID: xV3zxjLd)
参照: http://個性強い

>>106

よく来たな、選ばれし者よ。
私はそなたが来るのを心待ちにしていたぞ…

…、
お、お久しぶりです!マフィアの方ではお世話になりました!
り、立派な厨二加減ですね…!←
(見よう見まねですが、やってみました(()

キャラの方ですが一つだけ、
氷の騎士については操るような描写は問題は無いのですが、人格を持たせたり自動で動く事の無いようにする事はないようにお願いします。

それ以外は大丈夫なので登録しておきますね!
これからもよろしくお願いします

>>110

初めまして!
キャラについての修正はないので登録しておきます。

質問の答え
戦闘中に雷を起こすことは可能です。
天候を変えることはできません。ただ望んだ場所に雷を生み出し落とすことはできます。廃都の人間は何もないところから能力によってなにかを生み出すものなので自然のものとは関係ありません。
たとえば、嵐の時などラスさんの能力や意思とは関係ないところで自然から生み出された雷がうまれ落ちたりします。

こんな説明で理解できたかはわかりませんが、質問があったらまたどうぞです

これからよろしくお願いします。


>>119

【大丈夫です! そうですね、はやくストーリーを進めた方が皆さんも動きやすいと思うので是非絡んでください。こちらから絡み文を投下します!】

自室に戻ったシルヴィアは急いだ様子でタオルに水を含み血や泥がついてしまった所を拭いていく。
未だにどくどくと血を流す左肩をかばいながらも服を脱いでいく。ディアーナは止血をしたかったのだろうか、彼女は肩ではなく腕にハンカチを巻きつけた。
綺麗だったハンカチも流れてきた血で汚くなってしまっている。シルヴィアはそれを無言で解くと脱いだ服の上にはらりと落とした。
お風呂に入っている時間はない。汚れを落とすと一番酷い肩を見つめ息を飲む。
どうやって隠そう。肩以外には痛むところはないしここだけをなんとかしたら完璧なのだ。
きゅ、と唇を噛むと一か八かで長袖の服を掴み傷口に直で着て部屋を飛び出した。

心の底でシファに悪態をつきながら兄の部屋の前に辿りつくと息を整え扉をノックした。

「兄様ぁ、ボクだよぉ」

きっと兄は部屋にいるだろう。
失われた魔法について気づいてはいないはずだからはやく報告しないと、と自分で扉を開け飛び込みたい衝動に耐えながら兄が出てくるのをまつ。
もしかしたら疲れているのかもしれない。武力で争いをしたわけではないが兄は王である仕事などで人一倍精神を使い眠っているのかもしれない。
シルヴィアは少し戸惑いながらも扉に手をかけた。

Re: 【中文】It becomes one story【募集中】 ( No.121 )
日時: 2015/03/24 15:31
名前: ナタノ (ID: zVt/LmGE)


>>118

降り出した雨が窓を叩く音を聞きながらグウェンはまたもや眉を下げた。ディアーナの質問はひどく返答に困るものだったのだ。
六年前の事について記されている蔵書は全て目を通した。無理に話を聞くことはもちろんしなかったが、城の内外問わず六年前の事についてポツリとこぼす人間も少なくはなくて、グウェンは幾人かから実際の経験を聞いたりもした。しかし事の全貌がわからない為に安易にどれくらいを理解しているとは言い難かった。経験してもいないことを理解しているふりをするのは愚かな事である。

「…当たり障りのない誰でも知っている範囲の事は存じておるのですが、それ以上の事はさほど詳しくは」

グウェンはそう言って一度言葉を切った。重い音を立てて開く扉を見えもしない瞳で見つめる。グウェンは浅学な自分を酷く恥じていた。無知は罪だ、とグウェンに言ったのは誰だったろうか。
確かに無知は罪であるとグウェンも思っている。だからこそ六年前の蔵書は全て目を通したし、こぼされた昔話には耳を傾けた。けれどそれで十分なのかと言われれば確かにそこには疑問が残る。自分は大切な事を知らないのではないか、知っていなければならないことを知らないまま過ごしているのではないか。そう考えたのは一度や二度ではない。
グウェンはもう一度重い口を開いた。

「全てを知らなければならぬとは思いませぬ。世には知らぬ方が幸せな事もありますからな。しかし、知らぬ事でした、では通じぬ道理があるのもまた確かな事です」

十七の少女にはいささか難しいような話をグウェンは続ける。しかしその瞳はゆらゆらと湖面のように揺れていた。

「大切な事を知らぬままに過ごすのは恐ろしい事です。しかし踏み込みすぎれば誰かの心を抉るでしょうな。匙加減がこの若輩には些か測りかねます」

グウェンはようやく開いた扉に向かって足を進めながら困ったようにはにかんだ。ディアーナに六年前を聞きたい気持ちはあったがそれは喉の奥に呑み込んだ。

Re: 【中文】It becomes one story【募集中】 ( No.122 )
日時: 2015/03/24 17:11
名前: フレア (ID: dRebDXey)

「そうですわね、知らぬ方がいいことも世の中にはたくさんあります わ。グウェンさんが言ったことは間違っておりませんの。」

相槌を打っていたディアーナは、扉の奥に足を踏み入れてそう言った。
知らなければいけないこともあるし、知らなくていいこともある。その加減を上手に出来る人などこの世には居ないと思う。だからこそ、そんなところにまで気を使うグウェンを凄いとディアーナは思うのだ。私は今でも、少し深くまで立ち入ってしまうことがあるから。自分よりも幼い子の方が他人のことを考えれるのを、少し羨ましく思ってしまうのを責める人はいないと思う。

抱えていた武器を指定の場所に納めながら、ディアーナは少し重たくなった口を開いた。普段なら自分からこんなことは言わない。けれども、先ほどのシルヴィアのことで、少なからず動揺しているのだ。

「では、そうですわね。グウェンさんが知っていてもいい話を一ついたしましょう。少し長くなりますが、お聞きになりますか?」

なるべく明るい声でそう言ったディアーナは、グウェンの手の中にあった武器を取って直し始める。何かしていないと落ち着かないらしく、その後もせっせと働いていた。

「聞きたい事を、知りたいことを聞こうとすることは良いことですのよ。まだ若いんですから、たくさん知って、失敗して、どこがいけなかったのか考えれば良いんですの」

グウェンが言葉を呑んだのにきづいたのか、また子供なんですから。そう付け加えて微笑んだ。

Re: 【中文】It becomes one story【募集中】 ( No.123 )
日時: 2015/03/24 17:42
名前: ナタノ (ID: zVt/LmGE)


>>122

ディアーナの言葉にグウェンは武器を納めていた手を止めて、ついとディアーナの方を向いた。不思議そうに首を傾げてそれからコクリと頷く。

「私が聞いても宜しいと言うならば、是非に」

それからディアーナの手が伸びてくるとグウェンはペコリと頭を下げて礼を述べた。慣れた武器庫といえどもやはり見えなければ作業に時間がかかってしまう。さりげなく気遣ってくれるディアーナに軽くはにかんだグウェンは続いたディアーナの言葉に喉を詰まらせた。

グウェンは今までいつだって大人である事を強いられてきた。先代の賢者に拾われてからは賢者としての務めを果たせるようになるべく毎日修行をしてきたし、十二になった時に賢者の座を継ぎ『グウェン』の名を継いでからというものの、グウェンは職を持つ歴とした責任ある大人に分類され失敗することも、年相応に遊び回ることも許されなかった。
王族の為に、国の為に尽くす事には何の疑問も文句もない。むしろ国も為になれる事を誇りに思ってすら、いる。けれど、失敗の許されない道は息が詰まるようだった。自分の一挙一足投は全て周りの人間に見張られており、一つでも何かしくじれば周りはこぞって彼女を避難した。周りの誰もが、グウェンが子どもで有る事を忘れているかのように酷く耳障りな言葉を浴びせた。

だからこそグウェンはいつの間にか、自分のことを酷く否定的に考えるようになっていたのだけれど。ディアーナは失敗しても良いのだという。貴女は子どもなのだから、と。
彼女はグウェンに大人である事を求めないのだと思うとグウェンは縋り付いて泣き出したいような気分になったが強く拳を握って代わりにスッと背筋を伸ばす。泣きそうなまま聞いていい話ではない。今はこちらに集中しなければ。

「お心遣い感謝します。
ディアーナ殿のお話、是非にも拝聴したく存じます」

Re: 【中文】It becomes one story【募集中】 ( No.124 )
日時: 2015/03/24 17:52
名前: 寝退 ◆HyWhrnhVWU (ID: FGcintdM)

>>120

会議室から自室へと戻ったイオは珍しく疲れを露にした様子でベッドに腰を下ろし、そのまま仰向けに身体を横たえる。
天井を眺めながらあらゆる事を思案するも思うように頭が働かず、とりあえず国を守る為に張り巡らせている闇の魔法を強化しておこうかとそのイメージを頭の中で思い浮かべれば、国を覆う闇の層は更に厚くそして強固なものへと形を変えて行く。

五分、いや……十分だけ、とそんな事を考えながら目を閉じるも、それと同時に部屋に響くノック音に再び意識を覚醒させた。

この気配はシルヴィアだ。妹が部屋に接近していた事にも気付かないとは……と苦笑しながら立ち上がり、前髪を掻き上げながら一つ息を漏らしてそのまま簡単に髪を整えると、開かれたその瞳は本来の鋭さを取り戻していた。

妹に疲弊した自分の姿を見せる訳にはいかない、とそう思うのは彼女が心配そうに眉尻を下げながら兄を見詰めるあの表情を見るのがイオにとって何よりも辛く耐え難い事だからだ。

過去の記憶の中に居るシルヴィアを思い出そうとすれば、自分の為に苦しむ姿ばかりが思い浮かぶ。
もう繰り返すわけにはいかない……イオは無意識に眉を寄せながらもシルヴィアの声に「入れ」と簡単に返すと、開かれた扉の向こうから微かに流れ込んでくるその独特な匂いに思わず眉間の皺を更に深く刻んだ。
しかしそこに居る筈のシルヴィアを見ようとはせずに目を逸らし、床へと視線を落としたまま小さく口を開く。

「何があった、シルヴィア」

わざわざ確認しなくとも、彼女が傷を負っている事は分かっている。しかし分かっていてもその姿を見れば動揺を隠せず、そんな自分を見ればシルヴィアが心を痛めてしまう。
現に今直ぐに中立の国へ再び出向いて傷を負わせた相手を殺してやろうかと、そんな事を考えてしまっているのだ。
あの六人の中の一人だったとして、他の五人の存在もあり容易に復讐を果たせる訳も無い。そこまで理解していようともそんな愚かな考えを抱いてしまう程に、妹に関する事に対しては冷静さを欠いてしまう。

イオは何とか心を鎮めようとその瞼を伏せながら、シルヴィアを一人置いて国に戻った事を悔やみ深い自責の念に駆られていた。



(ありがとうございます!久々にイオとシルヴィアで絡める事に歓喜です。ただの妹溺愛物語(?)にならないように頑張ります…)

Re: 【中文】It becomes one story【募集中】 ( No.125 )
日時: 2015/03/24 18:53
名前: フレア (ID: dRebDXey)

「ふふっ、では....」

小さく微笑めば、咳払いをしてその顔から笑みを消した。横にいたグウェンが拳を握ったのには敢えて触れず、手を動かしながらも、名を伏せて、6年前の出来事を話し始めた。

「これは、酷く醜い女のお話です。」

初めはシルヴィアやイオのこと、国がどうだったかを話そうとしていた。けれど他人の、それも2人の話をするのは気が引けたし、国のことについてはある程度城のものから聞いているだろうと思った。だから名を伏せて、自身のことを話し出したのだ。あまり聞いていてタメになる話ではないが、まぁ悪魔契約のことに触れるのはこの話が一番最適であろう。

「女は、自身の存在意義や存在価値がわかりませんでした。血塗られた手はあまりにも汚く見え、自身に嫌悪感は抱くものの命を絶つのは怖く、毎日毎日人を殺しながら自問自答をしていたそうです。そんなある日、醜い女に手を差し伸べた男がおりました。男は女に存在意義を与え、殺すだけだったモノクロの毎日に色を与えたそうです。」

なるべく昔話っぽくなる様に工夫しながら、ディアーナは初めてまともに会話した日のことを思い出していた。あの時は王子であるイオを呼び捨てにし、かなり偉そうにしていた。今思えば死んで詫びたいほど恥ずかしい思い出だ。

そこから手短に6年前の戦争が起こったことを話せば、今回の話の本題とも言える契約について触れた。

「....女は男とその家族を守りたくて、男に幸せでいて欲しくて、悪魔と契約してしまいました。その日はあいにくの大雨で、契約時に生まれた右手にまとわりつく黒い炎を消すように、ずって降り続いていたそうです。悪魔は女の願いがあまりにも気に食わなくて、利き手だった右腕を一生使えないように壊してしまいました。」

本当に微かにしか動かなくなった右腕は、今でもディアーナを縛り付けていた。見るたびに鮮明に思い出す記憶は、激しい痛みと悲しみしか無かった。あの頃の楽しかった思い出など、霧のように霞みがかっている。

隣で話を聞いているグウェンがどんな表情をしているのか気になったが、見る勇気まではなかったのか、軽く息を吐いて話を続けた。

Re: 【中文】It becomes one story【募集中】 ( No.126 )
日時: 2015/03/24 19:39
名前: ナタノ (ID: zVt/LmGE)


>>125

まるで昔話のように語られ始めたそれが一体誰の事を指しているのかグウェンにはすぐに分かってしまった。物語の最中に雨が降っていたという事、それから動かなくなってしまったという右腕。グウェンにはディアーナの姿を見る事は出来ないがその右腕が活動している所を感じた事はなかった。先ほどからグウェンの腕から武器を持っていくのも左腕ばかりなのである。それらから鑑みるにおそらくこの話はディアーナの経験談なのだろう。もちろんそれを指摘するほど、グウェンは子どもではないが。

武器の数を確認しつつその言葉に耳を傾ける。淡々としつつも苦渋の溢れた声色にはディアーナの苦悩がはっきりと見て取れた。悪魔と契約をしてまで守りたい人がディアーナにはいたのだという事実は少なからずグウェンを驚かせた。どんな人物に対しても適度な距離を置き、本心を見せない彼女がそこまで想う人がいたとは。
きっとさぞかし素晴らしい人なのだろうと、それが自分の仕える主である事を露ほども知らないグウェンは呑気に考えていた。

聞くだけで胸を締め付けられるような話をグウェンは何の表情も浮かべずに聞いていた。グウェンが悲しそうな顔をするのはなんだか違う気がしたし、ヘラヘラ笑いながら聞くのもなんとも失礼な話だ。グウェンはどこか人と感情に差異があるようであるべき表情を浮かべられない事がままある。
浮かべるべき表情も分からぬままグウェンは何の感情も伺えない顔で武器庫の棚を見上げつつ、倉庫に吸い込まれるディアーナの涼やかな声に耳を傾け続けた。

Re: 【中文】It becomes one story【募集中】 ( No.127 )
日時: 2015/03/24 20:04
名前: フレア (ID: dRebDXey)

あの頃は、あまり綺麗なものではなかった。血にまみれ、絶望と嘆きの声が毎日のように国から聞こえてくる。あまり聞き心地の良いものではなかったし、どちらかといえば気持ち悪くなるようなものばかりが溢れかえっていた。

「守るために得た力は、男を怒らせ、悲しませてしまいました。そしてその力を上手く使うことのできなかった女は、結局役に立たなかったそうです。」

あの日、私は何もできぬまま終戦を迎えた。思い返してみたがイオやシルヴィアのためにできたことなどなく、逆に二人には迷惑ばかりをかけてしまっていたのだ。そんな自分が嫌で、そんな自分に投げかけられる褒め言葉が汚くて、ディアーナは半年間もの間城に戻ってこなかったのだった。

「女は契約を解除しましたが、右腕は動かないまま。半年間もの間行方を眩ませて男の元に戻ってきた女に、昔の面影はあまり残っていませんでした」

あの日、契約を解除した日。ディアーナはイオやシルヴィアとの距離を取ること、この胸に秘めた重すぎる思いに鍵をかけることを決意したのだ。それが自分にできる決別で、あの日のようにならないために、自身の力を低く見てきた。昔の面影も感じさせないようにして、ただただ自分の与えられた仕事に専念をしてきたのだ。可笑しなことを考えないように、何日も寝ないで仕事をし続けた時もあった。だからこそ今があり、こうやって上手くなった笑みを浮かべながらあの人の下で働いていられるのだ。

「....とりあえずは、ここで終わりですわ。」

なんだか自分の事しか話してなかったな、そう思い、付け加えるように悪魔との契約がどんなものなのかを話していた。普段はここまでの世話は焼かないが、今日は雨だから。少し、気分が落ち着かないのだ。

直し終えた武器を見て息を吐けば、右手をゆっくりと触って悲しそうに笑った。思い出してしまったら少し話したくなったな、そんなことを思いながら。

「質問があればなんなりと。答えられる範囲のことはお答え致しますわよ」

Re: 【中文】It becomes one story【募集中】 ( No.128 )
日時: 2015/03/24 20:34
名前: ナタノ (ID: zVt/LmGE)


>>127

ディアーナの話がひと段落し、ザァザァと強さを増した雨音だけが武器庫に響くのを聞きながらグウェンはまず、ぺこりと頭を下げた。

「貴重なお話を聞かせて頂きました。ご好意感謝致します」

それからふと、顔をうつ向ける。質問する事を許された。六年前を少しでも知るチャンスをグウェンは与えられたのだ。しかし知りすぎるのも良くないと言うことはよく知っている。質問は何か一つに留めておこうとグウェンは思った。そうしなければ程度を弁えずに全てを問い詰めてしまいそうだったから。余計な知識は身を滅ぼす。
ぐるぐると目まぐるしくものを考えながらグウェンはしばらくの間をあけてようやく小さく口を開いた。その顔はひどく真剣で年相応の無邪気さは欠片もない。その強い意志を覗かせる顔が、グウェンが幼いながらも賢者を勤めてきた証だった。

「気に食わぬという理由で悪魔は右腕を壊したと仰いましたが、それでは本来悪魔と契約する際には対価は不要という事なのですか?それとも何かを対価として支払わなければ悪魔の力を得られぬのでしょうか?」

もちろんその後の人生を奪われた、それが対価だ、と言われればその通りなのだが。グウェンが気になったのはそこだった。何の対価も払わずに悪魔の強大な力を手に入れる事は可能なのだろうか。だとしたら一体どれほどの人間がその力に手を伸ばしただろう。対価を払ってでも力を手に入れたい人間は星の数ほどいるというのに。
それにもしも対価が要らないというなら悪魔は一体何の利益があって人間にその力を使わせるのだろうか。

そこまで考えてからグウェンは慌ててあわあわと手を振った。

「不躾な質問で申し訳ない、やはり私の言葉は少々配慮に欠けますな」

Re: 【中文】It becomes one story【募集中】 ( No.129 )
日時: 2015/03/24 20:45
名前: フレア (ID: dRebDXey)

強い意志を覗かせるグウェンの顔を見れば、ディアーナはその質問に少し目を伏せた。あまり、深く考えたことはなかったからだ。気づけば持って行かれており、実際に悪魔と会話したことも数えるほどしかない。
雨音に顔をしかめながらも、目の前の少女がした質問に戸惑いながらも応えた。

「いえ、対価は必要なはずですわ...。でなければこの世界は契約したもので溢れかえっているはずですし。」

6年前を思い出しながら、ディアーナは考え込むように少し息を吐く。
なぜ、私はそんなことに疑問を持たなかったのだろうか。あまりにもバカすぎて笑えてくるが、この雰囲気で笑うことなど出来はしない。
頭をフル回転させながらその理由を考えるが、その結論にたどり着くことはできなかった。暇なときに契約についての本を漁るとしよう。そう胸の中で誓い、グウェンの様子にクスッと笑った。

「いえ、私こそきちんと答えられなくて申し訳ないですわ」

見えないだろうが深々と頭を下げ、ディアーナは自らの無知さを少し悔やんだ。今からでも遅くはない、そっち関連について勉強するのもいいかもしれないな。


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